宮戸語録 vol.30~相棒Ⅲ~

体調を崩してた間にも時計の針は進んでいました。

安生洋二引退興行まで、あと1週間切っています。

この興行の裏テーマは言わずもがな“Uインター”ですね。

Uインターという団体が面白かったのは、

この安生と宮戸優光の存在があったからなんですよね。
取締役コンビ

彼らは現場においてもフロントにおいても、

全身全霊でUインターを支えていました。

かつての記事(参照:相棒相棒Ⅱ)の続編…完結編として、

宮戸語録で読み返してみましょうか。



新生UWF解散からUインター旗揚げの流れ。

キーマンだったのはこの二人というのが公然の事実ですよね。

それは前田日明に対するより、

むしろ団体の方向性に対する不満が高じての結果でした。

「高田延彦」のカタチ―高田延彦22年間とは?1981‐2002
 「高田延彦」のカタチ より

宮戸
「新生でもなんかねぇ、『こんなやり方でいいのか! プロレス界にとって、UWFがこんなやり方でいいのか!』っていう不満があったんですよね。安生さんとも、この男は忘れてると思うんだけど、よく話したわけ。
(略)やってることはなんにも残ってない、と。ただなんとか『UWF MIND』とかさあ。なんかそんなイベント名で、イベントで終わっちゃってるわけですよ。結局、『プロレスラーは凄いな、強いな』とかね。そういうことがなんにも残ってないわけ。だから『これでいいのか』と。で、高田さんもそんな中でくすぶっちゃってた感じだったし。だから『これはなんとかしたいなあ』って、いつも安生さんと言ってたの」


社会現象となった団体の中にいて、

若き二人は合宿所の同室でいつも理想を語り合っていたのです。
安生のコールが、

Uインターの合言葉は“最強の格闘技プロレスリング”でしたが、

これは二人の思いが形となった結果でした(参照:宮戸語録 vol.15~Uインター旗揚げ20周年記念~)。

宮戸
「いつも合宿所で、もう5年も6年も二人相部屋だったですからね、そこで話してたことを実現したのが、Uインターだったのかなあっていう感じかな」


宮戸は次々と仕掛けていき、

安生は巧みにそれをフォローして、

高田延彦が最高の結果をだす。

そして一つ一つの大会に爆発力を生んでいったのです。
Uインターの祝杯1

宮戸
「毎回必死だったよね、あの頃は。選手が控室に来ないんじゃないかって、いつも安生さんが見届けに行ってるわけよ、ホテルに電話入れたりさ。
(安生は)英語ができるからね。全部そういう役回りだったよ。(略)大一番のときは何か賭かってるっていう感じの闘いばっかりだったから。だからそんときに『控室に来ないんじゃないか!?』っていう心配はするんですよ。バービックも北尾もベイダーも全部そう。神宮球場のときもベイダーが来てるの確認してホッとしちゃったもん。二人で『握手』って感じで」


この話は以前もやってるので(参照:大きな意味を持つ『ワーク』~前編~)アレしますけど、

とにかく団体の存亡が賭かった試合を、

いくつも重ねていったUインターは表舞台のみならず、

舞台裏もハラハラドキドキの連続でした。

そんな中でも目先の興行だけに囚われず、

しっかりと若い芽を育てる事も怠らなかったのがUインター。

その教育係も二人の仕事でした。
Uインター道場3

宮戸
「この安生洋二っていう男はまた違う意味でもの凄く貢献した男です。この安生さんのUインター時代っていうのはね、彼の中でも実力的に非常に充実してきた時期だったんですよ。また僕なんか身近にいてこれだけ仲良くしてた人間から見ても、『あー、この人強くなってるなあ』っていうのがわかったからね。
(略)安生さんが実戦のリングの中で結構下の者たちを鍛える役をやってくれましたよね。僕なんか結構その高田さんの怖い一部の、そういう細々とした、またいろんな意味の礼儀だとか練習の秩序だとか、という部分に関しては、僕もいろいろ言ったけどね」

「だから安生さんが結構、あの時代はそういうものを担ってやってくれるだけの技量になってたしね。あのときにまた安生洋二なくして、今の時代の若手たちの成長っていうのはなかったと思う」


企画やブッキング、さらにスカウト…膨大な仕事の中でも、

宮戸と安生が最優先したのは道場だったんですね。

これが若手たちの向上心につながっていった訳です。

のちに田村潔司桜庭和志も異口同音に、

基礎となったのは「安生さんとのスパーリング」と言っています。
回転体Ⅱ

二人の闘いはさらに他団体と他団体ファン、

時には一部マスコミとも繰り広げられました。

その最たる例がプロレスリング・ワールドトーナメントにおける、

リングスとの一件(参照:宮戸語録 vol.10~馬の骨発言の真意~)ですよね。

U.W.F.最強の真実 (BLOODY FIGHTING BOOKS)
 U.W.F.最強の真実 より

宮戸
私や安生さんの中では、自分たちがどんなに悪者になっても、Uインターという母体に火の粉を飛ばしてはいけないというのが、自分たちの役目だと思っていた。とくに高田さんやトーナメントに飛び火させてはならないというのが二人の使命でもあった。
ただ、どうしても相手が前田さんのところとなると、正直、私は積極的になれなかった。私としては子どもの頃からの関係から、潜在的に苦手意識もあった。
そういう中であれしか収める方法はないという感じで、彼自身も判断してくれたのか、安生さんが嫌な役を自ら買って出てくれた。それが例の“200パーセント発言”につながるわけだ。
あの役を安生さんがやってくれたことによって、それが非常に効果的であったし、あれによって高田さんがごたごたの中から完全に消えた。一番の目的がそれによって達成されたのだ。
もちろん前田さんがストレートに「トーナメントでやる」と言ったら、高田さんはやる気でいた。しかし、リング上の話にはならずに、ダーティーな荒れ模様になって、前田さんの方にも高田さんとやる気はなく、私と安生さんを敵に回しての中傷合戦になっていたから、その中に高田さんや会社を巻き込むわけにはいかなかった。


いわゆる“ヨゴレ”を買って出た事で、

トップの高田のクリーンなイメージや、

団体そのものには傷を付けない。

その代わり舌戦相手のみならず、

信者と呼ばれるファンやマスコミをも敵に回して話題を独占する。

これってかなりのエネルギーを要したはずですよ。

誰も好き好んで嫌われ役なんてやりたくないですから。

しかし皮肉にも安生はそのヒールっぷりが、

のちに新日との対抗戦で花開く結果となりました。
遂にUインターが新日マットに殴り込み

本当にUインター以外の…いや、一部のUインターファンも含めて、

リングス問題と200パーセント発言~ヒクソン道場破り失敗~長州戦という流れの中で、

シュートな感情によって嫌われ憎まれていた安生。
大ブーイングの中、安生登場

ところが対抗戦が進むにつれて、

これまでの新日にはないキャラが受けて、

やがてアンチも含めて味方に付けていった安生。
62.png

こんなレスラー、もう出てきませんよ。

それと安生と宮戸の理想が結実した団体Uインター、

こんな団体も、もう生まれる訳がありません。
発表記者会見

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tag : 宮戸優光 安生洋二

comment

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あれ?

こんばんは。

宮戸は安生が自ら悪役を買って出たとなってますが、安生からすると宮戸作成の台本に沿ったセリフとの事なので、この二人も複雑かつ面白い関係ですよね。

安生自伝は予約されましたか?

No title

対戦相手が来てるかどうか・・・
ちょうどこの時代、リングスでも「チームrow」の選手が試合前に
「ギャラを上げないと出ない」
とか言い出すことが多々ありました。

ベイダーもこの頃、WCWの現役王者だったし新日が引き戻すという噂もあったり(一部では新日本の刺客で試合で仕掛けて高田を潰したら戻るという話もあったそうで)で、いろんな意味でハラハラしたんでしょうね。

安生のヒールっぷりというかトーナメントでの前田への挑発は確かに高田への火の粉は取り払われましたが、トーナメントそのものへの興味は大きく削がれてしまいましたね。
変な話、誰も参加しなかった分の”枠”をオープン枠にした方が今となっては面白かったかもです。


今は”おちゃらけ”がプロレスファンの中での市民権を得てしまっているので、安生のような人が出てきても「ふ~~ん」って終わっちゃうでしょうね。
それと同時に何かを仕掛けても”何のアングル?”という話から始まってしまう世の中では、Uインターのような団体は望めるべきもありません。

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>aliveさん

こんにちわ。

安生からすると宮戸作成の台本に沿ったセリフとの事なので、この二人も複雑かつ面白い関係<安生も宮戸がいない所では結構ディスってんですよね。例の邪気下し風呂の件とか(笑)。
宮戸はGカップス~キングダム時代の安生は認めたくない模様でしたが、近年は氷解していますね。

安生自伝<私、書籍の注文とかってほとんどしないんですよ。出先で大型店見つけたら寄ってみる、どこにもなければAmazonでっていう感じで。
昨日のサムライの番組でも「今まで言わなかった事が書いてある」的な事を言ってましたね。価格から言っても期待して良い内容じゃないでしょうか。

>ナリさん

リングスでも「チームrow」の選手が試合前に「ギャラを上げないと出ない」<rAwチームですね。そういやリングスにはクートゥアーとか出てたんですもんね。
資本主義な選手が多いアメリカはサイドストーリーとか全く関係ないんでしょうね…ジョシュみたいな変態以外は。

新日本の刺客で試合で仕掛けて高田を潰したら戻るという話<2戦目の時、新日に戻るってのが騒がれていましたよね。
高田もわざわざ会見開いて「潰せばいいんでしょ。商品価値をグーンと落とせば」なんて発言したり…あの頃けっこう物騒な雰囲気ありましたね。

安生のヒールっぷり…トーナメントそのものへの興味は大きく削がれてしまいました<で、当時は私も一回戦なんてほぼスルーしてたんですけど、昨日サムライTVで安生vsザンギエフやってて、初めてじっくり見たんですよ。
これが実に良い試合だったんですよ!!(笑)

誰も参加しなかった分の”枠”をオープン枠にした方が今となっては面白かった<一億円ですからね…大仁田辺り出てたかも知れませんね。

何かを仕掛けても”何のアングル?”という話から始まってしまう世の中<今や知らなくていい情報まで入ってきてしまう時代ですからね。
そこを踏まえてやっていく団体が今伸びてるという事でしょうか。

>○ーさん

こんにちわ。

今のプロレスのイメージでいくと“社会現象”なんて夢物語でしょうね。

出会い<やっぱりこれが生の醍醐味ですよね。
プロレスファン…基本的に悪い人はいませんからね。
紫レガとは?

紫レガ 

Author:紫レガ 
45歳のプロレス話


長州、これは俺のブログだ。

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