祝・直木賞“猪木イズム女子”!!

プロレス界を取り巻くあらゆる上昇気流の中でも、

この文学界とのリンクは大きかったですね。

 文藝春秋公式 より
第152回直木三十五賞は西 加奈子さんに決定!

 産経ニュース より
直木賞受賞・西加奈子さん
西加奈子さん「プロレスからむちゃくちゃ勇気をいただいてます」~全7ページ

― 大変なプロレス好きということだが、改めてその魅力は。いま人気復権の動きもあるが、プロレスから与えられたものは。

「プロレスを私ごときが語れないというのは、まず最初にあるんですけど。もともと好きで見てまして、作家になってからは、特に最近、勝手にプロレスの状況と、自分たちの状況を照らし合わせるとこがあって。新日本プロレスが好きなんですけど、例えばアントニオ猪木さんとか蝶野正洋さんとかずっとスターがいたなか、低迷していた時期があって。そのとき出ていらしたのが棚橋弘至さん…って、この話、大丈夫です?」

《場内、笑い》

「私、1月4日の東京ドームにだいたい行くんですけど、作家になってしばらくのころはほんとに人が少なくて。棚橋選手は今までにいないタイプだったんで…。ちゃらいと言われたり、ベビーフェースやのにブーイングを浴びる選手やったんです。でも、今めちゃくちゃ新日本プロレスが盛り上がってるんですけど、それは全力で棚橋選手、中邑(真輔)選手真壁(刀義)選手らが素晴らしい試合をただ、見せてきたから。全力でプロレスを愛し、見せてきたので今がある。去年の1月4日のドームに行ったとき、ドームがギチギチになって、棚橋さんがそれを見て『プロレス信じてやってきてよかったです』とおっしゃって。私は勝手にそれを文学界に当てはめてて。本が売れないと言われてて、飲み屋で会ったおじさんに『太宰で終わった』『最近の作家なんか読めへん』と言われたこともあるし、『小説を書くこと自体、ダサイ』と言われたこともある。でも今、(文学界には)すごい作家、すごい“選手”がそろってて、皆、全力で素晴らしい小説を書いてて。絶対また盛り上がると私は思っていて。いつか『小説信じてやってきてよかったです』と言いたい。私、何の話してるんでしたっけ? とにかくプロレスからはむちゃくちゃ勇気をいただいてます」


…凄い!!

これ直木賞受賞者のスピーチですからね。

これに対して棚橋も、

東スポ・プロレス大賞授賞式で感謝の意を表したとか。

実はこの西加奈子さん

昨今増えつつある“プ女子”とは一線を画すバリバリのプロレスファン、

それも猪木イズムを通過した同志なのであります。
猪木の勝利

各界の猪木論者が集結した奇跡の一冊、

『G SPIRITS SPECIAL EDITION vol.1』に、

堂々名を連ねていたんですよね。

そこでは並のファンとは異なる猪木への想いを語られてました。

Gスピリッツ SPECIAL EDITION Vol.1 アントニオ猪木 (タツミムック)
 Gスピリッツ SPECIAL EDITION Vol.1 アントニオ猪木 より
西加奈子@Gスピリッツ

西さん
「元々はいとこがプロレス好きで、小学生の頃にいろいろ観せられてたんです。会場で観だしたのは遅くて18歳なんですけど、ウチらの世代の一番のヒーローといったら蝶野正洋さんで、その頃の猪木さんは政治家というイメージだったんですね。最後に出て来ると会場が一番盛り上がって、猪木コールになって、よっぽど凄い方なんやなというのはわかったんですけど、もう“アントニオ猪木”という名前の生き物みたいになってて。ナポレオンなんかと一緒で、ひとつの“概念”というか」


昭和デビューなんですね。

で、会場に通い始めた時代は90年代の闘魂三銃士時代。

あの時代、スポット参戦で現れて、

他の選手が浴びる事のない大声援を受ける猪木という存在に、

ただならぬ空気を感じたんでしょうね。
最後のコール

それにしても“アントニオ猪木=概念”ってのも納得です。

西さん
「それで大人になってから年上の方たちと遊んだりしてる時に『プロレスが好きで、新日観に行ってんねん』って言うと、『でも、猪木をリアルタイムで観てなかったら、プロレスを観てるって言えないよ』みたいに言う人が多くて。バーで一緒に猪木さんのビデオを観てたら、私より10歳ぐらい上の方が泣いたりされるんですよね。『これって何なんかな?』と思ってる時に、ちょうどコンプリートのDVDが出たので買って観たらビックリして。私も泣いたし、『そりゃ、これはみんな言うわな』って(笑)」


ここね、大事な部分だと思いうんですよ。

まず『プロレス好きで…』~『でも猪木をリアルタイムで…』のやり取り、

これが今までのビギナーとマニアの問題点だったんですよね。

ただ私はこれを悪い事とは思っていなくて、

そこで「ああ面倒臭い世界だね」って思って去っていくなら、

それはそれで仕方ない、と。

逆にこの西さんの感性ですよ。

『これって何なんかな?』…『そりゃ、これはみんな言うわな』。

興味持って観て、自分の中で答えを出す…それでいいんですよ。

ビギナーもマニアも媚びる事なく共存していくのが、

本当のプロレスブームの到来だと思います。

西さんはここから猪木にのめり込んでいきます。

西さん
「昔から『殺気立ってる』という表現をよく耳にしますし、自分も使うんですよ。『めっちゃ殺気立っとったわ』とか言うけど、猪木さんの試合を観て『あっ、こんな簡単に言ったらアカンな』と思ったんですよね。もうホンマに死ぬかもせえへんと思っている顔って、今、生きてる人の中ではなかなか見れないので。そういう部分に圧倒されたというか」

「レスラーの方って、物理的には人を殺せるじゃないですか? それでも人間として理性があって殺人までには至らないけど、猪木さんはキレたらホンマに殺してしまうやろなという怖さがあって(笑)。(略)猪木さんと佐山さんはリアルに殺せる人やという話を聞いたことがあるんですけど、アクラム・ペールワンとの試合なんかを観てもそれは思いますよね。『アカン、アカン!』みたいな」


猪木の試合からほとばしる“殺気”を、

演出的なものと捉えずにリアルなものとして受け止める感性。

女性としては珍しいですよね。

アクラム戦(参照:アノキ・ペールワン~前編~~後編~)を気入れて観戦するんですからね。
左右連続での顔面締め

猪木の存在性についても、

一つの哲学を持っている様です。

西さん
「これ、ウチの中での“あるある”なんですけど、猪木さんを好きって堂々と言わない人が多くて。猪木さんを好きっていうと、雰囲気がピリっとするんですよね(笑)。馬場さんとか三沢さん、鶴田さんなんかは、みんな好きやったって堂々と言わはるんですけど、猪木さんが好きっていうのは、その場の雰囲気を見ないと言えない感じがあって(笑)。アンチの方もいらっしゃるじゃないですか? あとはやっぱり『お前みたいなヤツが猪木好きって言っていいのか』というような雰囲気もあるし。だから、あんまり身近にはいないんですよね」


全日のスターレスラーたちはプロレスファンとして、

「好き」って言いやすい存在だけど、猪木は違う。

これは単に地域や周りの友人に関するアレだと思うんですけどね。

私なんか逆に「馬場さん好き」とか「ジャンボ最強」とか言う友人を批判してましたから(笑)。

西さんは現在の猪木について、

苦言も呈しています。

西さん
「今の猪木さんも凄く素敵な方やと思うんですけどね。前にバーでみんなで喋ってた時、そこに女性の方が撮られた猪木さんの写真集が置いてあって、その中には結構オフショットが載ってたんですよ。そうしたら、みんな『こんなんいらんねん! もうガチガチにポーズ決めて、一番カッコイイ決め写真だけでいいんや。それか戦ってるとこ。オフショットはいらん!』って言うんです(笑)。だから、ウチも猪木さんに会いたくないのは、そういう気持ちですね。あのDVDを観てしまったからには、そこまででいいというか、そこでパッケージして。猪木さんがブログを始めたのも、みんなショック受けてたし。『俺にとっての玉音放送や』みたいに言ってる人もいて(笑)。男の人特有の気持ちもあるんでしょうけど、それはウチもちょっとわかるんですよ」


この見解こそ通常の女性ファンと異なる部分でしょうね。

好きだけど、触れるのはちょっと違う。

私の高田延彦に対する想いも近い部分あります。

あの写真集は確かに猪木信者から総スカンでした。

撮った方の是非は別として。
アントニオ猪木 人生のホームレス フィギュア

具体的な猪木論も実に男性的角度というか。

西さん
「力道山の時代はわからないですけど、戦後ということで“対外国勢力”という部分が強かったと思うんですよ。でも猪木さんの場合は時代が変わって、外国人を倒すということじゃなくて、アントニオ猪木が戦っている姿にみんなが個人的な想いを込めていたような気がするんです。だから、余計に思い出として残りやすいのかもしれないですよね。猪木さんを大好きな年上の方がDVDを観て、『俺、頑張ろうと思うねん』って言わはるんですよ。その一瞬って、たぶん子供の頃に帰ってて。それを飢えつけてしまったというのは凄いし、羨ましいなと」

「男の人って友達と簡単に言える人、いなくないです? 誰が見ても猪木さんは孤独ってわかるじゃないですか。そういうところにも、きっと男性は共感するんやろうな、託すんやろうなって」


もうこうなると、頷いて読み入るしかないですよね。

冗談抜きに今でも古い猪木の映像観て、

落ち込んでる自分に喝を入れる時がありますもん。

西さんが選ぶ猪木ベストバウトも納得のチョイスです。

西さん
「大木金太郎との試合と、あとはビル・ロビンソンと60分やった試合かな。技がどうとかわかんないけど、やっぱり顔が。圧倒されて、泣いてしまうっていうのはそれですかね。ドキドキするというか、自分も怖くなるし」


大木戦(参照:昭和の日韓戦)はともかくとして、

ロビンソン戦(参照:至高のプロレスリング~episode・Ⅰ~~Ⅱ~~Ⅲ~~Ⅳ~~Ⅴ~~Ⅵ~~Ⅶ~~Ⅷ~)を技術論だけじゃなく観れるのが、

実に感性豊かだなぁと思いますよね。
「カマン!」

最後は自分自身を猪木に投影する、

猪木信者特有の作業で終わりましょうか。

西さん
「やっぱり全力でやってたら、伝わるんですよ。これは全部一緒やと思うんですけど、小説もやっぱり体重が乗ってる作品って素人の方でもわかると思うんですよね。技術がどうとかじゃなく、その線をいかに超えるかっていう。やっぱり怖いし、なるべく体力を温存しときたいと思ってしまうから、それをどれだけ消すか。だから猪木さんみたいに、死んでもいいと思ってやってる人を見ると圧倒されるんですよ。『自分らズルしてないか?』って。『もっとボロボロになるまで、できるんちゃうん?』って。全然ジャンルは違っても、そこは自分にも問いかけるところではありますよね」


これ約4年前のインタビューだったんですが、

それからもずっとプロレスを観続けていらっしゃったんですね。

とにかく猪木を通過した“同志”の受賞は嬉しい限り!!

西加奈子さん、

改めて、直木賞受賞おめでとうございます!!

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tag : アントニオ猪木 西加奈子

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No title

こんばんは。

わたしも、この雑誌は持っています。良いインタビュー記事ですよね。

さて、この作家の小説『こうふく みどりの』(小学館文庫)を見かけましたら、あとがきとして載っている対談を読んでいただきたい。紫レガさんならにこりと笑って頷いていただけると思います。

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>rascalさん

こんばんわ。

良いインタビュー記事ですよね<このGスピリッツは櫻井さん目的で購入したんですけど、ほぼ全インタビュー読み応えありましたね。快心の一冊でした。

『こうふく みどりの』(小学館文庫)を見かけましたら、あとがきとして載っている対談を読んでいただきたい<おおっと! 気になりますね。明日辺り読んでみましょうか。

>宮ゲさん

どんどん貼っちゃって下さい。
宮ゲさんの場合は承諾なしで使って頂いて結構です(笑)。

ありがとうございます

遠慮せず、貼らせていただきます(笑)
自分勝手に。
マスカラスの試合運びのようなノリで…例え上手くねぇ~。意味わからん(笑)

>宮ゲさん

こちらこそ、ありがとうございます。

遠慮せず、貼らせていただきます<どーぞどーぞ。

マスカラスの試合運びのようなノリ<ま、たまには天龍みたく北向きますけどね(笑)。
紫レガとは?

紫レガ 

Author:紫レガ 
44歳のプロレス話


待て待て待て待て!! 読め!! 俺の記事をこの野郎!! 待て貴様ぁ!!

どーですかぁーーーー!!

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