神が仕組んでくれた闘い~後編~(2000)

はいっ!! 前編からのつづきです。

1976年6.26 日本武道館での、

アントニオ猪木vsモハメド・アリを、

ダイジェストながら初めてフルラウンド放送した『スポコン!』。

スタジオではゲスト陣が、

終始無言で映像に見入っています。

アントニオ猪木“本能のアリキック”に対して、

時折見せるモハメド・アリの挑発パフォーマンスに、

藤原喜明が一言、

藤原
「本当はね、もう真剣ですよ。大変ですよ」

スポコン!での猪木アリ検証37

WBA世界ライト級王者・畑山隆則は言います。

畑山
(自分なら)もう何もしないで逃げ回りますよ僕。キックもらわない様に。掴まれちゃったら終わりだし、だから足使って逃げて、一発当てる事。当てるしかないんですよ」
スポコン!での猪木アリ検証38

パンクラスの船木誠勝は中立の立場で語ります。

船木
「お互いのその間合いってのがありますんで、立ってると一発でもパンチ食らうのが危険だって事から出来るだけ寝たまんま。寝て、アリがそこに入ってきたら、今度はレスラーの土俵ですから」

スポコン!での猪木アリ検証39

船木が言う“お互いの土俵”という部分、

6ラウンド、猪木の足を取りに来たアリは、

遂に猪木にテイクダウンを奪われます。
スポコン!での猪木アリ検証40

畑山
「こうなったらもうダメですよ。ああもう、やべえ! と思いますよ、これは」

スポコン!での猪木アリ検証41

猪木
「ダーーン!つって、一発上から殴って」

スポコン!での猪木アリ検証42

猪木にとってはまさに千載一遇のチャンスです!!

しかしながらルールで禁じられてる肘打ちを、

テンプルに見舞われた事で、

アリ陣営は猛抗議に割って入ります。
スポコン!での猪木アリ検証43

猪木
「やるんだったら終わりじゃない? ダーーン!つって、一発上から殴って。そう反則負けでもぶっ飛ばしちゃえばよかったなっていう…ンムフフ」

スポコン!での猪木アリ検証44

この場面でトドメを刺さなかった事で、

猪木曰く、「両方を守ったというか」(参照:国営放送の猪木アリ検証)。

ただし、これを糸口にアリの防戦は加速していきます。

船木
「だから、お互いの間合いっていうのがありますからね。その間合いの取り合いでアリが、その猪木さんの間合いに入っていってしまったという
(状態)。ボクサーはレスリングやっちゃいけないですよ」
スポコン!での猪木アリ検証45

猪木のキック攻撃で、7ラウンド終了時には、

アリの左足がミミズ腫れに変色してきます。
スポコン!での猪木アリ検証46

船木
「リングシューズを履いて蹴った蹴りですね。恐らく“鉛”の様な感じの蹴りに感じたんじゃないですかね」

スポコン!での猪木アリ検証47

鉛装着は踏み止まったものの、

既に鉛の様なダメージを与えていた訳ですね。

それでもアリがKO予告した8ラウンドを越え、

中盤から終盤に差しかかる9ラウンドには、

お得意の“蝶の舞い”を見せてきます。
スポコン!での猪木アリ検証48

藤原
(アリは)苦しいからやるんですよ」

そして10ラウンド、

アリの左ジャブが初めて猪木の左頭部をかすめます。

藤原
「これだけで顔がこんなんなりました
(かなり腫れた?)からね」
スポコン!での猪木アリ検証49

それでも猪木はひるまず胴タックルまで繰り出していきます。

徳光さん発言…を読み返すと、

当時の記憶の中にはこういった部分は、

丸ごと葬り去られてる感がありますね。

10ラウンド終了時において、

もはやアリの左足は変形し始めています。
スポコン!での猪木アリ検証50

船木
「同じ場所で
(蹴りを)受け過ぎだと思うんですよ。膝とかに当たったら、もう靭帯とか危ないですよ」
スポコン!での猪木アリ検証51

ここまでのダメージを積み重ねながら、

13ラウンドにして初めてアリに勝機が訪れます。

コーナーを背にしたアリに対して、

猪木が飛び込んだタックルに、

カウンターの左ジャブが炸裂!!
スポコン!での猪木アリ検証52

たまらず膝から崩れ落ちる猪木ですが、

何とか組み付いて追撃を免れます。

これ、ほんの数秒の攻防ですが、

実に両者とも細かい駆け引き使ってるんですよねぇ。

DVDでの最注目ポイントかも知れません。

畑山
「アリとしては『占めた!』って感じでしょうね。その瞬間見逃す訳ないっすよ。
(ここからは省略しておきます。DVD観る楽しみにとっておきましょう!!)
スポコン!での猪木アリ検証53

猪木
「こんなのパンチが入るんじゃなくて、触ればもう、それでひっくり返るというか」

スポコン!での猪木アリ検証54

藤原
「一発当たっただけで、顔がこんなになってましたからね」

スポコン!での猪木アリ検証55

猪木
「結局コブになるくらいね、強烈だったという事ですね」

スポコン!での猪木アリ検証56

畑山
「○○使ってますね。猪木さんの方もそれをわかったんですね、○○一回使いましたから、はい」

スポコン!での猪木アリ検証57

この後、結局決め手のないまま、

試合はフルラウンドの末、ドローに終わります。

実にアリが放ったパンチは5発、

猪木が放ったキックはその19倍にもあたる96発。
スポコン!での猪木アリ検証58

ただ単に45分間、猪木は寝ていた訳でもなく、

ただ単に45分間、アリは歩き回っていた訳でもないのです。

しかしここでもアリのビッグマウスが、

猪木を奈落の底に落としてしまいます。
スポコン!での猪木アリ検証59

猪木
「『あれは“お遊び”だったよ』っていう一言残して帰っちゃったんでね。これはもう、俺にずーっと背負わされた十字架みたいになってしまってね」

スポコン!での猪木アリ検証60

それでもアリが友情の証として猪木に送ったテーマ曲。

時は流れて、引退後もスーパースターとして尊敬されながら、

重度のパーキンソン病という病を患ってしまったアリですが、

かつて失意とともに金メダルを川に投げ捨てた五輪の舞台に、

最終聖火ランナーとして大役まで務め上げた、

まさに地球規模の偉人です。
スポコン!での猪木アリ検証61

猪木
「過ぎてしまえばね、いい思い出しか残っていませんけど。ま、結果的にはね、倒せれば良かったんでしょうけど。でも、倒さなくて良かったなぁって本当思いますよ、俺は。本当に。これは引き分けで良かったんじゃないかなって。長い目で見たときにね」

スポコン!での猪木アリ検証62

猪木
「彼もヒーローで、俺なんかも本当にプロレスを背負ってる気でいましたから。ボクシングが傷つく事も、レスリングが傷つく事も、そういう意味ではアレで良かったなぁ、と」

スポコン!での猪木アリ検証63

アリが引退後に発売した公式写真集において、
スポコン!での猪木アリ検証64

最も目立つページに掲載したといわれる一枚の写真。

それが猪木戦後の京王プラザホテルの部屋で、

痛々しく左足を吊ってベッドに横たわる自分の姿。
スポコン!での猪木アリ検証65

この闘いを振り返って猪木はこう言います。

「神が仕組んでくれた闘いだった」と。
スポコン!での猪木アリ検証66

闘いっていうのはそれ程、神聖なものですよね。

特にいろいろなものが神懸っていたこの闘いは。



最後にもう一度スタジオに戻ってきまして、

感想を語るゲスト達。

のちに総合というある意味同じ土俵に上がる吉田秀彦曰く、

吉田
「同じ格闘家として、凄いこういう思い出来ていいなぁって思いますし。また、自分もやってみたいなっていう気に…(笑)」

スポコン!での猪木アリ検証67

当時すでにPRIDEに参戦して苦闘が続いていた佐竹雅昭曰く、

佐竹
「今観るとね、勇気以上のね、愛があるわ、あの二人の闘いの中に。だからね、お互いに愛があるからこそ闘ったんじゃないかなという気がしますね」

スポコン!での猪木アリ検証68

最後はやっぱり組長ですよ。

藤原
「新鮮ですよね、なんかねぇ。これね、昔、もう25年経ったんですけどね、こうやってアレしてみると、新鮮ですね。うん」

スポコン!での猪木アリ検証69

確かに。

当時のファンが観ても、今の新しいファンが観ても、

きっと新鮮に感じる事は間違いないでしょうね。

この煽り記事シリーズに最後までお付き合い下さった方、

ありがとうございました!!



猪木vsアリ、世紀の一戦。

このDVD発売まで…いよいよ一週間です!!
燃えろ! 新日本プロレス エクストラ 猪木VSアリ 伝説の異種格闘技戦 【初回入荷限定特典付】 [分冊百科]

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tag : アントニオ猪木 モハメド・アリ 格闘技世界一決定戦 藤原喜明 船木誠勝 吉田秀彦 佐竹雅昭

comment

Secret

残り一週間

前回記事で私は、4オンスでの試合は想像できないと書きましたが、実際にアリはやっちゃったんですもんね(汗)
いかに異常かってことですよ。

正式に『猪木vsアリ』で記事は書かれますか?
この試合、語られていることがいろいろとありますよね?未だに謎のまま…。
レガさんの見解を聞きたいなぁ。

No title

この番組の時代もあるでしょうが、畑山隆則にコメントを求めるところはいいですね。
日本の世界王者クラスのボクサーでは数少ないクレバーなタイプ(勿論そればかりではなく男気もあるタイプですが)ですから。

実際、畑山のいうとおりボクサーからすれば逃げながら打つ以外の策は無いですよね。
後年UFCにドン・フライが登場した際には、大学選手権優勝の実績のレスリングとプロボクサーとしての試合経験もあるおかげで、他ジャンルの格闘技とも戦えるスタイルになりましたが実際ボクシングのスタイルだけでは勝つことは難しいです。
変な話、4オンスグローブくらいでちょうどいいというか(拳保護の意味での)


しかし、「神が仕組んでくれた闘い」とはよく言ったものですよね。
それ以上に見合う言葉が見つかりません。

>宮戸ゲノムさん

4オンスでの試合は想像できないと書きましたが、実際にアリはやっちゃった…いかに異常かってことですよ<紆余曲折経てこの試合の場に立った時点で、それはもう常軌を逸してる訳ですしね。
しかも世界ヘビー級王者ですから…もう異常の極みです。

正式に『猪木vsアリ』で記事は書かれますか?<もちろん!!

…ただ、いつになるかはわかりません。
本当にこのブログを閉じる頃、例えば私が米寿を迎える頃になるかも?(笑)

>ナリさん

畑山隆則にコメントを求めるところはいいですね<このインタビュー時点で紛れもなく世界王者ですからね。

畑山のいうとおりボクサーからすれば逃げながら打つ以外の策は無い<純度の高いボクサーであればある程、それ以外に策はないですね。

変な話、4オンスグローブくらいでちょうどいい<極論すればそうなるのでしょうか。猪木も肘打ち入れたくらいでちょうどよかったか?

「神が仕組んでくれた闘い」とはよく言ったものですよね<猪木が言ったそうですが、逆に言えば神以外に仕組み様がないですね。

お疲れ様でした。('◇')ゞ

いや~随分気合いの入った煽りが続きましたね。

自分も言いたい事は、ほぼ言い尽くしたんですが、お疲れ様でした~だけでもと…(-。-)y-゜゜゜


でも、キックボクサーは、ボクサーと戦うとしたらとにかくロー入れろって言いますが、アリがあれだけの(実際は見てませんが)蹴りを喰らいながら、フルラウンド戦い抜いた精神力ってのは、半端じゃね~なと、よくセコンドが止めなかったなと、不思議に思いますね。

ま~流石に当時の商品価値を考えると、簡単には止められないでしょうが、本当に感心しました。

色んな資料が出てきて楽しかったです。


ここまで煽りが続くとは思いませんでした。


発売日が楽しみですね。

これだけの情報をまとめて・・・本当に大変だったと思います。ご苦労様でした!!楽しく、そして勉強になりました(^^)

お互いの立場や周囲の騒ぎ、そして名誉や金じゃない!!リングに上がったからには最後まで戦うという男と男の魂のぶつかり合い、男と男の真剣勝負!!しかと見届けましょう!!

レガさんありがとう!!



すいません!!

前のコメント、名前入れないでしまいました・・・(T-T)

初めまして

紫レガ様のブログ、いつも楽しく拝見させて貰っております。

何よりも文章から溢れるような対象への愛が感じられます。カクトウログ様やGK氏のように。

こちらの記事とは関係のない話題ですが
私は中邑真輔がデビュー当時からずっと好きで
彼の不器用な生き方や常に変化を求める姿勢にどれだけ力を貰ったかわかりません。
紫レガ様の記事も楽しく読ませて頂いてます。

先日、G1クライマックスの北海道での開幕戦のカードが発表されました。

遂にあのカードが実現します。
メインで無いのは「互いの理性を感情が超えてしまった場合」の保険の為でしょう。
紫レガ様は北海道でしたよね。観戦に行かれますか?
正直、北海道のファンが羨ましくて仕方ありません。

どんな形になるか想像もつかないですが
開幕戦の日を楽しみに待っています。

長文失礼しました。

>アステさん

お疲れ様でした~だけでもと…<わざわざありがとうございます。本当に嬉しいです。

アリがあれだけの(実際は見てませんが)蹴りを喰らいながら、フルラウンド戦い抜いた精神力ってのは、半端じゃね~なと<技術的な部分で蹴りに対する免疫が全くない訳ですから、それだけでも異常なんですよね。
そして今の選手ならそこまで耐え抜く意味はないというか…とにかく意地だけでしょうね。

色んな資料が出てきて楽しかったです<最後まで読んで頂きまして、ありがとうございました。
秘かにアステさんの記事ともリンクして嬉しかったです。

>流星さん

ご苦労様でした!!楽しく、そして勉強になりました<こちらこそありがとうございます。

お互いの立場や周囲の騒ぎ、そして名誉や金じゃない!!リングに上がったからには最後まで戦うという男と男の魂のぶつかり合い、男と男の真剣勝負!!しかと見届けましょう!!<流星さんにそう書かれると、本当に明後日試合が行われるかの様な錯覚にとらわれてしまいます。

いよいよですね!!

>スコアーからのサブコンシャスさん

初めまして。
コメントありがとうございます。
そしていつも読んで下さってありがとうございます。

G1クライマックスの北海道での開幕戦のカードが発表されました…遂にあのカードが実現します<もうこの試合が行われるだけで申し分ないです。
というか一度この会場で実現してるんですよね。

観戦に行かれますか?<はい。観させて頂きます。

もしかしたら私の様な存在があれこれ言うべき試合ではないのかも知れませんが、他の試合と比較しても私自身が語る事の多い試合である事は間違いないです。

この番組、何回見たことか…
プロレス、というか挑戦する男たちへの愛に溢れていますよね。

レガさんなら必ずこの番組をレビューしてくれると思ってました。ありがとうございます!

DVDの発売は、とっても嬉しくて、待望で夢が叶うのだけれど…昭和ファンなんでしょうか、やっぱり発売延期、夢は夢のままであってほしい、そう思ってる自分もいたりします 笑

記者会見とか世界を相手にした猪木のたたずまい、雰囲気などが見られるのも楽しみです!

No title

読み応えたっぷりのシリーズ、有り難うございました。やっぱり自分も注文してしまいました!

自分はタイガーマスクからプロレスに入った人間で、猪木のことはむしろ前田日明側のスタンスで眺めていたのです。が、レガさんの熱い文章を読ませて頂くこの数年ですっかり猪木信者に染まりました。ビルロビンソン戦もDVDを購入して「おお!」とか唸りながら見ています。レガさんの詳細なレビューだけでも充分魅力的なのですが、やはり実物(生観戦には及びませんが)に触れると違う感動がありますね。

いつもいつも素敵な更新、有り難うございます。プロレスファンで良かった!

管理人のみ閲覧できます

このコメントは管理人のみ閲覧できます

>ろっきさん

プロレス、というか挑戦する男たちへの愛に溢れていますよね<この時代のナンチャンはギリギリ愛情持っていましたね。
今ではすすんでプロレス話する事なんか皆無ですからね。

DVDの発売は、とっても嬉しくて、待望で夢が叶うのだけれど…昭和ファンなんでしょうか、やっぱり発売延期、夢は夢のままであってほしい<本当に天邪鬼なのは昭和ファンの悪い癖というか(笑)。
ここまで来たら、もう延期はないでしょう。遂に明日、いや、もう今日ですね。
遂に発売です!!

>てつさん

読み応えたっぷりのシリーズ、有り難うございました<こちらこそ飽きずに最後まで読んで下さってありがとうございます。

猪木のことはむしろ前田日明側のスタンスで眺めていた…熱い文章を読ませて頂くこの数年ですっかり猪木信者に染まりました<それもまた嬉しいお言葉です。

やはり実物(生観戦には及びませんが)に触れると違う感動がありますね<そうなんですよね。そもそもプロレス団体は興行を見せていくのが本道ですからね。
試合を観ない事には始まりません。

こちらこそ、今後とも宜しくお願いします。

>○○さん

偉人は偉人を知るというか…各分野のトップランナー達が憧れる猪木、素敵ですよね。
紫レガとは?

紫レガ 

Author:紫レガ 
45歳のプロレス話


長州、これは俺のブログだ。

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