背中合わせの二人~後編~

中編のつづき、

KAMINOGEの前田日明インタビューにおける、

高田延彦との決別宣言を受けた上で、

私なりの前田・高田論です。
前田高田、チャンコ中の談笑

いきなりですけど核心に行きましょうか。

前回記事でチラッと書きましたが、

前田氏が言う最後のやり取り以降、

実は二人、公の場で顔を合わせています。

常に賛否両論を呼ぶ『Show氏本』です。

T多重ウェィブ表紙
 T 多重ウェィブ より

前田「(部屋に入ってくるなり)元気?」

高田「あ、どうも(と、握手を交わす)

前田「ちょっとごめん。俺、腹減っちゃったよ。腹減っちゃったあ!!」

― (略)ステーキを用意したんですけど、ステーキでよかったですか?

前田「うん、素敵

高田「昔と変わりませんね。でもそこで笑うから調子に乗るの(冷静に)


師匠ゆずりの前田氏のダジャレに、

実にクールな高田の受け答えで始まったこの対談。

そこはもちろん高田にも猪木イズムが流れています。

前田「マット界のことはまっとうに考えなきゃあかんで(笑)」

高田「(略)あんまりそういうことをいってると(とケーキを指さして)景気が悪くなりますよ」

一同 爆笑

高田「(と、今度はフキンを指さして)そういうことは不謹慎じゃないですか」


実に楽しそうな雰囲気なんですけどね。

読み進めていくと…「え? もしかして、ここ?」という部分があります。

前田「でも俺、(高田道場の)道場開きのパーティーに呼ばれなかったしぃ~、イジイジ(と、前田は右手の人差し指を右ヒザに当ててホジホジする)

高田「お、そのホジくり、まだキレ鈍ってないですね(笑)」

一同 爆笑

高田「10年前からやってたからね。久し振りに見れて嬉しいねえ(笑)。長年やってるからヒザが1センチくぼんでますもんね、すり鉢状になってるし(笑)」

一同 爆笑

高田「昔はたまに鼻に指が入ってましたけどね(笑)」

前田「どうせ俺なんて~、フハハハハ」


おどけていじけてみせる前田氏ですが、

案外本音も入ってると思うんですよ。

「兄弟みたいな関係なのに呼んでくれないんだ…」みたいな。

そしてそれを茶化して周囲を笑わす高田(笑)。

さらに前田氏はプライベートでのつれなさにも言及しますが、

高田には高田の事情があります。

前田「冷たいよ、高田は結婚式にも呼んでくれないしね。待ってても、結局、誘いがなくて用意しておいた御祝儀でひとりで酒飲んで終わり(笑)」

高田「Uインターには前田さんが嫌いな人がいっぱいいたからね。お祝いの場が険悪になっちゃうから(笑)」


そうなんですよ。

高田が亜紀夫人と結婚した頃はUインター全盛期です。

そんな時代に前田氏を招待して、

安生、宮戸と同じ場でさらに酒が入ると…、

恐ろしくて考えたくもありません(笑)。
食ったのは安生

ただ、ここまで読んでいて気が付いた事、

それは前田氏が新弟子時代から本物の家族の様に面倒見てきた高田の、

人生の節目に一度も声が掛からないという寂しさ。

おどけてダジャレを連発していますが、

これ例えば実弟とそういう関係になったら、

その悲しさは計り知れません。

前田氏にとっての高田はそういう存在だったのだと思います。
前田高田、会場入り

対談はその後、件の藤原組長とのスパーリング話や、

高田と亜紀夫人のなれそめ話と続きますが、

興味深いのはあの頑固を絵に描いた様な性格の前田氏が、

高田の言葉を素直に受け止めていたという事です。

前田「あの頃の高田(※新日との業務提携時代)は、すごい大人だったよ。(前田が)いろいろいっぱいいってると電話が(高田から)かかってくるんだよ。そしたら『ダメじゃないですか』って怒られてさ」

一同 爆笑

前田「だから『そうだなあそうだなあ。いいすぎたから明日はこうやっていおう』ってことがいっぱいあったよ。長州力(の顔面)をバンて蹴った時も電話がかかってきて『ああなるのはわかってましたよ。試合前の雰囲気でわかった』って」

高田「そりゃあ一番近くで観てるんですからわかりますよ」

前田「(略)アンドレ・ザ・ジャイアント戦の時もな、パッと見たら高田がリングに上がろうとして構えてるんだよ。だからこれはやらなあかんなあと思ってさ。あの頃は、もしなんかあったら助けに来てくれるんだろうなあっていうのがいっぱいあったよ」


あの時代の前田氏にこういう物言いが出来た人物って、

高田しかいなかったと思うんですよね。

やっぱり二人は兄弟だったんですよ。
前田、高田組

ちなみにこの対談きっかけで、

当時、高田道場所属の豊永稔のリングス参戦が決まりました。

この後のインタビューで、

高田は客観的に対談時の前田氏を語っています。

高田「前田さんなりに気張ってたよね。『俺は前田や』『俺は先輩や』って(笑)」


高田は至って自然体、前田氏の方は照れ隠しなのか、

やたらとダジャレ連発していたんですよね。



それからaliveさんのご指摘にもあった様に、

高田はヒクソン・グレイシーとの再戦が決まった際、前田氏に電話報告しています。

迷宮Xファイル―あの事件はいったい何だったのか!? (Geibun mooks―Dynamism! (No.462))
 迷宮Xファイル―あの事件はいったい何だったのか!? より

前田には、高田本人から連絡が入ったという。「2戦目をやることになりました、すいません」というような内容だったと伝えられる。それに対し、前田は「いいよ。頑張れよ」と告げたという。


これを書いたのは高田よりも前田氏に近い熊久保英幸ですので、

極めて事実に近い話だと思われますがどうでしょうか。

実はPRIDE.1以前に前田氏はヒクソンに対し、

リングスでの3試合契約交渉を投げ掛けていました。

契約が成立した暁には、

そのうちの1試合を高田に譲るつもりだったらしいのです。

ちなみにその他の2試合が前田氏と田村潔司

もしもこれが実現していたら…日本の格闘技界はどうなっていたでしょうね。
最強軍団UWF

いずれにしても兄弟以上の仲だった二人が、

いつの間にか絶縁状態になってしまったのは、

単純な理由なんかじゃなく、

一つ一つのボタンの掛け違いからだと思います。

U系はみんなそうなんです。きっと。

上手にボタンを掛けられる人物…出て来ないでしょうかね?

その後も二人は前田氏の引退試合、山崎一夫引退試合と、

公式の場において顔を合わせています。



最後に高田がおそらく現役生活の中で、

最もドン底に落ち込んでしまった夜に、

きっと立ち直るきっかけとなったエピソードで締め括りましょうか。

72/744―高田延彦写真集
 72/744―高田延彦写真集 より

早朝6時。自宅に戻り、泥のように眠る。
ふと目覚めて、留守番電話の内容を確認。
高田「そしたら、前田(日明)さんから留守電が入ってたんだよ。この留守録が、嬉しかったね、内容が。(略)プライベートな自分と前田さんのつながりっていうかね。その電話に入ってた内容がすっごくね。3回か4回聞いたもん。こういう時に、こう思ってくれるっていうのはね、心に染みたよね。『ああそうか、ああそうか』と思いながら聞いたよね。それはよく覚えてる。二日酔いのなかで聞いてたけどね(微笑)」


お節介で、すぐ頭に血が上る兄と、

そんな兄を茶化しながらもずっと支えてた弟。

いつからか背中合わせの二人、

また振り向くタイミングは…来ると信じていたいです。
笑顔の二人

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tag : 前田日明 高田延彦

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Secret

前田が還暦迎えたら

高田もUインター抱えて難しいポジションでも有ったでしょうから、インターの人間を優先しなければいけないし…結婚式にしろ、その他色々気を使って大変だったと思いますね。

前田は、今でも弟のように可愛く思っているから、許せないんでしょうね。

兄貴と慕っていた佐山との関係は、少しは修復して居るのでしょうか?

真樹日佐夫のような、お節介な親父が生きていればと…

後はKAMINOGEの山本さんに頑張ってもらって、還暦祝いに長州を仲介役にして、みんな集めて対談組んで欲しいですね。

前田に猪木並みの寛容さが有れば、もっと凄い事が出来てたんだろうなと思います。(-。-)y-゜゜゜

>アステさん

高田もUインター抱えて難しいポジションでも有ったでしょうから、インターの人間を優先しなければいけないし<それでも結婚式には猪木を招待したんですよね。
当時の新日とUインターの関係を考えると驚異的です。

今でも弟のように可愛く思っているから、許せないんでしょうね<そこはどうでしょうね。
ただ前号で語ってたT氏の様なアレではないと思いますので、ゆくゆくまた今記事最後の画像みたいな2ショットが見れれば何よりです。

後はKAMINOGEの山本さんに頑張ってもらって、還暦祝いに長州を仲介役にして、みんな集めて対談組んで欲しい<そうですね。まだ何年もありますが。
意外と実現出来そうなのは、長州と宮戸対談とか…いかがでしょう。

前田に猪木並みの寛容さが有れば、もっと凄い事が出来てたんだろうなと<そこは奇しくも猪木が語ってますね。
前田氏自身も「猪木さんの思い通りにならなかった」みたいな発言してました。
一個一個、これが必然だったのでしょうけど、もし何かが違っていたら…と思うと妄想は尽きません。

No title

感動しましたっ‼‼

列伝のBI砲編のエンディングのような感動です。


前田がいたから高田がある!
高田がいたから前田がある!

この若き日を忘れなければ、まだまだ
フアンを、ハッピーにしてくれるはず!!

>スパさん

列伝のBI砲編のエンディングのような感動<そこまで言って頂くとアレですが、ありがとうございます。
いろいろ苦戦しながらUpしました。

この若き日を忘れなければ、まだまだフアンを、ハッピーにしてくれるはず!!<やっぱり知らず知らずのうちに刷り込まれているんですね。

確かにU系におけるBIなのかも知れません。

No title

以前、君島ブランドの兄弟が骨肉の争いをしていた時期に、お父さんが亡くなり
「どっちで葬儀をするのか」
という騒動になり、両方で葬儀を行いましたが父の遺体は兄の主催する葬儀に。
弟はその葬儀に参列し、遠巻きから遺体が運ばれていく様子を見ていましたがそれに気づいた兄が弟を引っ張り込み柩を担がせました。
兄も弟も号泣しながら柩を担いでいました。
問題は雪解けしたかのように思えたのですが結局仲直りはしませんでした。


高田と前田も、おそらくは当人同士で語り合えば何ら問題のない関係に戻れると思います。
でも、両者の周りにはそれぞれの関係者がいて今でもいろいろと制約はあるかと予想出来ます。
そして、現在の取り巻き(?)の手前、容易に仲直りをしにくい状況もあるかもです。
でも、それの殆どは当人ら同士が
「彼らをぞんざいに扱ってまであいつとは仲良くできない」
というものだったりもします。

両者が60~、70~くらいになった頃に雑誌の対談とかが組まれたらひょっとしたら雪解けはあるかも知れません。
その時には、きっと

『― (略)ステーキを用意したんですけど、ステーキでよかったですか?

前田「うん、素敵」』

という会話があるかも知れませんね。

>ナリさん

君島ブランドの兄弟が骨肉の争いをしていた時期<初めて聞くお話です。大変興味深く読ませて頂きました。

高田と前田も、おそらくは当人同士で語り合えば何ら問題のない関係に戻れると思います<何だかんだ言っても前田氏は正面切って文句言いながらも無視はしないんですよね。
一方の高田はそれ程、根深く思っていないと思います。
これは猪木との関係も一緒だと思います。あの時の決別宣言はPRIDE統括本部長としての建前ですからね。

それの殆どは当人ら同士が「彼らをぞんざいに扱ってまであいつとは仲良くできない」というものだったり<高田は名前こそ出しませんが、安生と宮戸の存在が大きく影響してると思います。
自分を慕ってた人間を外して修復するのは虫がいいとも思ってるかも知れません。

両者が60~、70~くらいになった頃に雑誌の対談とかが組まれたらひょっとしたら雪解けはあるかも<そうなると…どうなんでしょうね。
今のままでは二人共通の先達が逝かれた時にも参列すら出来ません。
…そういえば小鉄さんのときは二人とも参列しましたね。恐らく顔は合わせていないでしょうけど。

以前コメントしましたが、宮戸は前田に謝罪済みです。
それに対して前田も例の練習生の墓参りをちゃんとしたら考えるよって感じなのでまあそこは大丈夫かと。

安生ー前田間は…どうしようもないでしょうなぁ。
(例の殴打事件の裏側は高橋がインタビューで語ってました)
ハッスルを実質的に仕切ってたのは安生だったようですし。

そういえば紫レガさんからするとハッスルはどういう位置付けなんですかね?
高田総統だけじゃなくて、現役復帰してましたが。

>クーさん

宮戸は前田に謝罪済み…前田も例の練習生の墓参りをちゃんとしたら考えるよって感じ<そこまで具体的なのは知りませんでした。
元々付き合いの古い二人ですから、修復して欲しいんですけどね。

安生ー前田間は…どうしようもないでしょうなぁ<刑事事件ですからね。
普通の関係に戻ったら怖いです。

ハッスルはどういう位置付けなんですかね?<あくまでエンタメ集団だったと書いたら都合良すぎますかね?
旧知の方なら知ってるんですけど、あれは命を懸けた余興ですね。

No title

三部作、超大作!!お疲れ様でした。

スパさんじゃないですが、ボクも感動しました!!本当に、この二人がいなかったら・・・と思うことはたくさんあるし、なによりボクらを熱くしてくれた二人には感謝しなければならないと心より思います(^^)

なにより、そんな素晴らしいエピソードをレガさんが書いてくれたことが、一番うれしいです(^▽^)

>流星仮面二世さん

ありがとうございます。

本当に、この二人がいなかったら・・・と思うことはたくさんあるし、なによりボクらを熱くしてくれた二人には感謝しなければならない<Uのリングに一番最初から参加して新生の全盛期にも中心に立っていたのはこの二人ですからね。
一つ言えるのは前田信者はいざ知らず、高田ファンは基本的に前田氏を心から嫌っているという事は絶対にありません。

そんな素晴らしいエピソードをレガさんが書いてくれたことが、一番うれしい<こちらこそ真剣に読んで下さって嬉しい限りです。

TVスターの流星さんに読んで頂き光栄です!!

No title

山本喧一のジム開きの記念パーティー(1998年8月)の時点では、前田と高田が仲良く祝いにかけつけているところがプロレス週刊誌の記事になっているのですが、同時期にリングス横浜大会で発表されていた滑川(リングスジャパン)VS豊永(高田道場)の再戦が急遽中止になったのも1998年8月でした。前田の言う新生Uのクーデター疑惑が耳に入ったのは、おそらく山喧のジム開きの直後でしょう。山喧のジム開きパーティーには、Uインター出身者やリングス所属の選手が多数かけつけていましたが、このとき訪れていたUインター出身者(フロント含む)の中に、前田に接触して入れ知恵した人間がいたのかもしれませんね。

>シルエットさん

初めまして。
コメントありがとうございます。

山本喧一のジム開きの記念パーティーの時点では、前田と高田が仲良く祝いにかけつけている<当時、PRIDE.4の前ですね? という事はやっぱり、あの時点では交流がかすかに続いていた。結果的に前田氏の記憶違いでしょうね。

リングス横浜大会で発表されていた滑川(リングスジャパン)VS豊永(高田道場)の再戦が急遽中止<豊永は滑川とライバルになるかなぁ? と思っていましたけどね。結局、高田道場所属はみんなPRIDEに行きましたね。

おそらく山喧のジム開きの直後でしょう…このとき訪れていたUインター出身者(フロント含む)の中に、前田に接触して入れ知恵した人間がいたのかも<もはや推理小説みたいですが、その後の高田の周りにいた人物から推測すると、Uインター、キングダム関係ではない様な気がします。
誰かによって計画的に切り離された模様ですね。
紫レガとは?

紫レガ 

Author:紫レガ 
45歳のプロレス話


長州、これは俺のブログだ。

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