背中合わせの二人~中編~

前編からの続きです。

前田ファンの方々にとって、

前田日明の献身的なケアに対し、

最も高田延彦が裏切ったとされる例が、

1997年10.9 PRIDE.1での一連の出来事でしょう。
ゴング!!…高田、秘密特訓の構え!!??

そこはもちろん前田氏も語っています。

KAMINOGE vol.29
 KAMINOGE vol.29 より

― 1997年の高田vsヒクソン(・グレイシー)戦ぐらいまでは、前田さんも蜘蛛の糸を垂らし続けていたわけですよね?

前田「そうだよ。でも、俺もまだあの頃はUWF最後のクーデター云々の真実を知らなかったんだよ。で、ヒクソンに負けて俺が、『これからどうすんの?』って聞いたら、『何も決まってません。もう現役を辞めるかもしれません』って言ってた。だったらもう、俺が出て行ってヒクソンとやるしかないと思って、リングスに交渉を始めさせたんだよ。で、『向こうの言うとおりのギャラ、言うとおりのルールでやりましょう』と。WOWOWも『ウチは中立の立場だから、WOWOW主催で向こうも文句ないでしょう』と。で、WOWOWの社内でも『これはビッグイベントだ』って特別チームを作ってね」

― 前田vsヒクソン戦なんて、そりゃ絶対乗ってきますよね。

前田「たぶん、ヒクソン側に提示したギャラは2億近かったと思う。どこも出してない額ですよ。で、ヒクソンは『オッケー』と。で、『今度、ヒクソンのウェアブランドの立ち上げの記者会見があって日本に行くから、着いたらすぐに記者会見をやろう』と言ってきた。それでリングスの人間に空港に迎えに行かせたら、そこにPRIDEの人間も来て、そのままヒクソンをビューッと連れて行かれた。で、PRIDEが『高田vsヒクソンの第2戦をやります』って会見をやったんだよ」


前田氏にとってのPRIDEとは、

自分が育ててきた日本の総合格闘技界を、

滅茶苦茶にしてしまった疫病神でしょう。
気合満タン

そして高田というかつての弟分は、

その魂をPRIDEに売り渡した悪魔に思えた事でしょう。
高田の勝利を祝福する前田

ただ、ここも見る角度を変えてみれば、

高田は「現役を辞めるかも」とは言っても、

「辞めます」とは言っていない訳ですから、

リングスが交渉を始めた事もフライングだったのかも知れません。

早い話、前田氏が当時のPRIDEを主催するKRSのオファーに応えていれば、

高田vsヒクソン再戦はなかった訳です。

― それはまた刺激的な…。

前田「『えっ、高田、おまえ俺には何も決まってないって言ったんじゃないの?』って」

― 電話をしました?

前田「したけど取んないんだよ。そりゃ取らないよね。WOWOWの大村(和幸プロデューサー)さんに聞いてみ? あの人も当時の経緯をすべて知ってるから。俺、WOWOWに謝りに行ったんだから」

― そりゃあもう、顔が立たないですよね。同時期にPRIDEで発表されちゃってるわけですもんね。

前田「そうだよ」

― じゃあ、高田さんとは1回目のヒクソン戦後の「これからどうすんの?」「決まってません」というやり取りが最後ですか?

前田「そのあと、あったかなあ…。憶えてないな」


そうですか、憶えてないですか…。

前田氏と高田はこの後、

雑誌の企画で対談して、

それは一冊の書籍にもなっています。

 T 多重ウェィブ

この対談での二人…実にいい感じなんですけどね。

実はこの対談の中にも、

訣別のヒントが隠れていたりします。
前田高田、会場入り

インタビューの最後は前田氏自身にとってのUWF論。

例によって開拓者としての恍惚に浸る言葉の数々です。

前田「たまにUWFを俺の知らんとこでなんか偉そうに語ってる人いるでしょ。そいつら全員に教えてやるけどさ、俺はUWFで“当時の最新フレーム”を作ってあげてたんですよ」

― 最新フレーム、ですか?

前田「どういうことかって言うとね、当時はみんな“プロレス”っていう既存のフレームにガチッとハマってんだよ。いまみたいにMMAとかやる前の時代、そこで俺らは別の強敵と闘ってたんだよね。当時のUWFをやってる頃にね、いきなりいまみたいなMMAのルールで試合をやって、じゃあそれでメシが食えるかって言ったら絶対に無理。不可能。誰も食えないし、当時いまのMMAルールでやるって言って会場貸してくれるとこなんてどこにもなかったよ。当時やるべきこと、できることっていうのは、プロレスという巨大なフレームを壊して、それから新しいフレームを作り、そのフレームに当時の圧倒的多数のプロレスファンを違和感を感じさせないように引き入れて、牽引していって、啓蒙しながらやらなきゃいけなかった。それしかなかったんだよ」

― プロとして食えるファイトスポーツがプロレスしかなかった時代。

前田「プロレスしかなかった時代だよ。だから、“既存のプロレスのフレーム”とは違う、新たな“UWFというフレーム”を作って、そこにプロレスファンを引き入れてくるしかなかったんだから。そうでしょ? それで、とにかく俺はUWFの“前座”に毛が生えたような連中に、ちゃんとメシを食わしてやることに必死だった。当時のUWFの連中がさ、いまのMMAやってる選手みたいに『試合だけではメシが食えないから、アルバイトしながらでもやるか』っていうと誰もやんない。できない。そういう気持ちもない。で、前座のくせに有名でないとダメ、カネがいっぱい貰えてないとダメ。そいつらの欲求を満たしてやるためには、プロレスファンが違和感のないような啓蒙活動をし、牽引をしていくしか方法がなかったんだよ。それがUWFというスタイルだよ」


「俺以外はみんな前座」…これも近年よく使っているフレーズですね。

前田氏が周りを食わせていってたのがUWFだ、と。

一部分それはわかるのですが、

前田氏だけでは成立しない世界でもありました。
前田、高田組

山ちゃんがよく言ってましたね、

「前田さんは喋りすぎ、高田さんは喋らなさすぎ」って。

高田にとって前田氏は“いつまでも頼りになる兄貴”でありながら、

“もう少しドッシリと構えていて欲しい”存在。

一方の前田氏にとっての高田は、

“黙って付いてきてくれる弟”でいながら、

“こっちから投げ掛けてやらんと何もせんのか?”という物足りなさも。

ズバリ言って、二人のすれ違いは時間の問題だったのでしょう。

前田氏が言う「クーデター」という言葉はともかく、

Uが分派するにあたってほとんどの若い選手、

あの偏屈な中野でさえ、

前田氏や組長ではなく高田について行ったというのが、

一つの答えの様な気もします。
Uインター旗揚げオープニング

前田氏、ここから怒涛の堺雅人論に入ってしまいます(汗)ので、

2号に亘るKAMINOGEでのインタビュー抜粋はここまで。
前田氏@KAMINOGE29の2

ではなぜ、さらに後編につづくのか…、

それは今では口を開かない高田の、

過去の発言から見えて来る、

私なりの結論があるからなのです。
藤原、高田UWF移籍会見

もう一丁、お願いします。

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tag : 前田日明 高田延彦

comment

Secret

こんばんは。

前田は、高田は電話に出なかったと語ってますが、迷宮Xファイルとかいった書籍には、高田から「二回目、決まりました。」と電話連絡があったとの記述があり、何が真実か、よく、わかりません。

対ヒクソンについては、以前にも私がコメントに書きましたけど、とんでもない体格差の金原とは組んでおいて、自分はヒカルドンと組まなかった事で個人的には何を言っても説得力を感じませんね。

No title

T多重ウェィブ、マイ書庫を探したけど出てこないですねー。U多重アリバイならあったけど。

吉田豪の「Show本に当たりなし」は本当なんで、たぶん立ち読みで済ませたのかな。
前田高田の最後の対談が載っていたとは盲点でした。

今からでも購入せねば‼


もう一丁、楽しみにしてます‼

>aliveさん

こんばんわ。

迷宮Xファイルとかいった書籍には、高田から「二回目、決まりました。」と電話連絡があったとの記述があり、何が真実か<あの書籍には3試合契約の内訳も書いてありましたが、ちょっと現実味に欠ける交渉ですよね。
ヒクソンを納得させる金額が提示されてれば…みたいな締め括りですが、今回の前田氏のコメントでは2億だったそうですし…ただ3試合で2億なら、当然ヒクソンはPRIDEを選ぶでしょうね。

とんでもない体格差の金原とは組んでおいて、自分はヒカルドンと組まなかった事で個人的には何を言っても説得力を感じません<無差別級の魅力は確かにありましたが、前田氏が危険な相手とやった記憶はないですね。

>スパさん

吉田豪の「Show本に当たりなし」は本当なんで、たぶん立ち読みで済ませたのかな<その通りですが、案外私たくさん所有しています(笑)。

前田高田の最後の対談が載っていたとは盲点<終始猪木イズムあふれるダジャレ合戦なのですが、思いのほか仲がいいんですよね。
ただ記事にも書きましたが、こうなった原因のような会話部分もあるんですよね。

No title

こんにちは!
ステーキ、素敵の下りのT 多重ウェィブですよね。丸々高田でしたよね。
この本が世にあることを考えると、まぁよくこー言えるな~って感じではありますが・・。
読み返してないのでなんですが
前田との対談じゃないページで前田の苦労もUの解散が結果よかったことも語ってたような気がします。
まぁ何にしろ高田延彦が口をひらくことはないので
後半楽しみにしています。
やっぱり今こうして高田のことを語れるブログはありがたいです。
今後もよろしくです

No title

こんにちは。
ブログ内容には関係ないコメですみません・・・。
昨日、わたしもグレートサミット開催しました。
こちらの対象は ハーフのアイドルなので
国際会議と銘打ってみました(笑)
ブログの上げ方はレガさんを参考にってか
まるっと マネさせてもらいました。
事後報告ですみません。 よかったら みてください。

>Fさん

おはようございます。

ステーキ、素敵の下りのT 多重ウェィブ<さすがです。その本です。

この本が世にあることを考えると、まぁよくこー言えるな~<それ以外にも高田道場からリングスに参戦した選手もいましたからね。あれが最後って事はないと思うんですよね。

何にしろ高田延彦が口をひらくことはないので後半楽しみにしています<ありがとうございます。
ちょっと苦戦してますが(笑)何とかUpしたいと思います。

>ケロさん

おはようございます。

わたしもグレートサミット開催しました<おおっと!! いいですね。
一つのジャンルをとことん語りつくす…今回のケロさんの場合は女子会テイストですね。

まるっとマネさせてもらいました<どうぞどうぞ。
いや一個一個の議題を思い出すのって、結構大変な作業だったりします。
しかも私の場合はアルコールが入ってますんで(笑)。
紫レガとは?

紫レガ 

Author:紫レガ 
44歳のプロレス話


待て待て待て待て!! 読め!! 俺の記事をこの野郎!! 待て貴様ぁ!!

どーですかぁーーーー!!

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