血で血を洗う信頼感・੫~狂虎の危機センサー~(1976)

からのつづきです。

NWF奪回後、アントニオ猪木は再びストロングスタイル路線に乗り、

ビル・ロビンソンとプロレス史に残る名勝負を残しました(参照:至高のプロレスリング~episode・Ⅰ~~Ⅱ~~Ⅲ~~Ⅳ~~Ⅴ~~Ⅵ~~Ⅶ~~Ⅷ~)。
60分闘ってなおも闘志の消えない両雄

そして1976年、

猪木はプロレスの枠を超えた闘いに乗り出します。

格闘技世界一決定戦です。

その初陣となる、

“ミュンヘン五輪柔道重量級・無差別級2階級金メダリスト”ウィリエム・ルスカ戦の決定直後、
あーれー

タイガー・ジェット・シンは自らの存在意義を賭けた闘いに出ました。
執拗に挑発するシン

1976年1.9 福岡・九電記念体育館で、
受けて立つ猪木

シンの凶暴性は完全復活したのです。
いきなり二人掛かり、

アントニオ猪木vsタイガー・ジェット・シンのノンタイトル戦です。
アントニオ猪木vsタイガー・ジェット・シン

奇襲の場外乱闘から試合は始まり、

猪木は早くも額から出血。
イス攻撃に早くも猪木流血

本当にこの二人の闘い…血を見ない日はありません。

猪木セコンド陣が傷の手当に持ち込んだタオルも、

シンには格好の凶器となります。
タオルを奪って締め上げる

リングへ戻れば強烈なコブラクロー。
リングに戻ればコブラクロー

猪木はおびただしい流血で、

再び場外戦になると、
猪木大流血で場外戦へ

うがい用のビール瓶で反撃に出ます。
猪木ビール瓶で反撃

リングへ戻るとお返しのチョーク攻撃。
お返しのチョーク攻撃から、

場外で鉄柱に叩きつけると、
鉄柱攻撃でシンも流血

シンも額が割れて流血の殴り合いの末、
血しぶきを上げて殴り合う

最後は両者リングアウト。

出血多量の猪木は試合後、全く動けません。
試合が終わると動けない猪木

ルスカ戦前に思わぬ足踏みを強いられた猪木は、

すぐにリベンジを決意します。

1976年1.29 大阪府立体育会館

ルスカとの大一番を一週間後に控えての再戦です。

リングサイドにはルスカにクリス・ドールマン、アマレス協会理事の福田富昭の姿もあります。

この日のシンも気合とやる気が漲っています。
今宵もやる気満々のシン

猪木はマイクで一喝。

猪木
「正々堂々闘えコノヤロウ!! てめぇそんな物持たなきゃ勝てねえのかコノヤロウ!!」

猪木マイクで挑発

このアピールに対しシンは、

何とサーベルを投げ捨てて試合に臨みました。

序盤、クリーンに腕を取りに行くと、
腕を取るシン

猪木もキーロックで取り返す、
キーロックで返す猪木

いつもとは異なる二人の攻防を、

館内もジックリと堪能しています。

思わず早い段階から、

猪木のダブルアームスープレックスが飛び出します。
小さな弧を描く猪木のダブルアーム

宮戸ゲノムさん曰く「テクニカルなラフ」を織り交ぜて、
猪木、一転してケンカ殺法

ダブルリストロックまで繰り出します。
猪木のダブルリストロック

こうなれば全く勝ち目がないシンは、

業を煮やしたか猪木を場外へ放り投げ、
シンは場外へ放り投げ、

いつもの場外乱闘へ持ち込みます。

パイプイスでのチョーク攻撃、
イスでのチョーク攻撃

リングへ戻っても執拗にチョーク攻撃。
リングに戻ってもチョーク

一気に猪木はペースダウンです。
苦悶の猪木

そこからもう一度、場外へ戦場を移しての、

強烈な鉄柱攻撃で、
シンの場外攻撃

またしても猪木の額からは鮮血が。
猪木またも流血

さらに噛み付き、パンチで傷口を攻めるシン。
傷口を攻めるシン

猪木もいつもよりやや打点が低いながら、

反撃のドロップキック2連発から、
ドロップキック2連発で場外へ蹴落とし、

お返しの鉄柱攻撃で、
お返しの鉄柱攻撃から、

シンの額を叩き割ると、

怒りの鉄拳制裁。
流血したシンへナックルパート

勝負に出んとコブラツイストに入った瞬間、

シンは再び場外へ持ち込み、
コブラツイストに入った直後場外へ

またしてもチョーク攻撃。
場外では水を得た魚のシン

リングへ戻るとアトミックドロップの体勢から、

トップロープへ猪木の股間を2度も打ち付けます。
リングへ戻ると股間をトップロープに

レフェリーのしつこいチェックに、

思わずシンは一撃加えて、
しつこいレフェリーに一撃から、

さらにイスでもう一丁。
さらにイスで…反則負け

完全なる反則負けが告げられると、

待ち構えていた様に坂口征二がリングイン。
救援に入る坂口

血みどろの猪木の救援です。
大一番を前に傷を負った猪木

そして珍しいマイクアピール。

坂口
「こうなったらねえ、武道館でシンとやります!! 今日の猪木さんの仇はねえ、自分が取りますから!!」

坂口のたどたどしいマイク

何とも締まらないアレではありますが、

格闘技戦に進む猪木の代打として、

坂口がシン迎撃を宣言した瞬間でした。

しかしこの2連戦でのシンの狂いっぷりは強烈です。

ライバル猪木が新たな路線に打って出る以上、

このまま黙っていれば、

ナンバー2である坂口との抗争に、

刷り変えられそうな空気を察して、

シンはより以上の狂乱ファイトに出たのではないかと、

私は思うんですよねぇ。

事実、この日のダメージで猪木の主治医は、

「ルスカ戦は無理。試合を延期した方が良い」と進言した程です。

結局、格闘技世界一決定戦とは別枠で、

その後もシンは猪木のライバルとして参戦し続けました。



月日は飛びますが、

1979年8.2 品川プリンスホテル・ゴールドホールにおいて、

“熊殺し”ウィリー・ウィリアムスが初めて新日マットに登場した日も、
新日マット初登場のウィリー

シンはいつも以上の狂乱ファイトで、

猪木を血の海に沈めました。
この日も猪木を血の海に沈めたシン

これはもう異文化が侵略してきた際に自動的に発動する、

シンの危機センサーといっていいでしょうね。

へつづけましょう。

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tag : アントニオ猪木 タイガー・ジェット・シン ウィリエム・ルスカ 坂口征二

comment

Secret

No title

シンからすれば、空手家であろうが、柔道家であろうが、プロレスラーであろうが
「自分のエリアを犯す存在」
でしかないですから、
「猪木は自分の獲物!」
を絶対的にアピールしないと地位を動かされますね。
このあたりが、今のプロレス界には有り得ない行動というか?
スコット・ノートンあたりは
「自分はこの長いキャリアにおいて、オフィスの意思に逆らったことがない」
を自慢していましたが、彼が今ひとつトップになりきれなかった(と思います。)のはそういう部分だったのかなぁなんて。


No title

こんばんは。

現在、柳澤健の『完本1976年のアントニオ猪木』を読んでいるところで、先日の「猪木VSロビンソン」に続いての今回のシリーズ記事に、わたしの読書をより良いものにしていだだいています。

ありがたい気持ちでいっぱいです。

>ナリさん

シンからすれば…「猪木は自分の獲物!」を絶対的にアピールしないと地位を動かされますね<本当に要所要所で凶悪さが倍増するんですよね。あのテンションは凄い。

スコット・ノートンあたりは「自分はこの長いキャリアにおいて、オフィスの意思に逆らったことがない」を自慢していましたが、彼が今ひとつトップになりきれなかった(と思います。)のはそういう部分だったのかなぁ<先日お亡くなりになられたビル・ロビンソンについて、かつて宮戸が語っていました。「プロモーターの言う事は聞かない」と。
それでも彼がトップでいられたのは、お客さんを入れるからなんですね。
プロモーターの意向を無視して自分で試合を作っていっても、そっちをファンが支持すれば、そっちが正義になると。
今ではありえないのかも知れませんが、違った部分での自己プロデュースはあるでしょうね。

>rascalさん

おはようございます。

先日の「猪木VSロビンソン」に続いての今回のシリーズ記事に、わたしの読書をより良いものに…ありがたい気持ちでいっぱい<こちらこそ、そういった形でお役に立てて嬉しい限りです。

この時代の猪木、どの角度から検証しても答えの出ない深みがありますよね。凄いです。

せつない

別れ間際の恋人そのものですね…

シンとの抗争もそろそろ潮時だと考えると猪木…

それを察して、なりふり構わず食らい付くシンって時期ですね…

なんだ? 俺はもう用済みか? まだ行けるだろう? ずっと二人で盛り上げて来たじゃねーか…
ほら客も喜んでるだろ…

もう賞味期限切れだ…
お前との抗争に客はもう飽き始めてる…
一回飽きちまった客は、もう戻って来ねえんだよ、完全に飽きられちまう前に新しい刺激を与えてやらねえと…

いいか、誰を連れてこようと、お前の恋人は俺しか居ねえ…俺とやるより客を沸かせる事なんて出来ねえんだよ…

そうだろ? なんだよ坂口って…役不足だよ

そんな会話が聞こえてそうな感じがしますね。

腕取り名人

記事の冒頭にロビンソン…泣けてきます…

危機カウンター!なるほど!!

大阪の方の試合ですが、猪木は腕を取る技術がホントに凄い。改めて。
色んな取り方を見せてくれてます。すべて、めちゃくちゃ早いし、めちゃくちゃ上手い。CACCから来ている技術ですね。
猪木のハンマーロックの見事さ!!(笑)
繋ぎ技でも今のプロレスとは意味が違ってくると思います。猪木の場合は相手をコントロールすることに使ってるかと。

シンはクリーンなレスリングでスタートしたと思ったら、結局はいつもの狂った虎になっちゃったという。展開としてはおもしろいですよね?単純な話(笑)

>アステカイザーさん

別れ間際の恋人そのもの<あぁ、そういう観方もありですね。

猪木がシンとの闘いでよく使うフレーズの中に「プロレスとはSEXみたいなもので…」というのがありますが、何か別れの予感の中で微妙な距離感を保つ恋人同士みたいな部分はありますね。

なんだよ坂口って…役不足だよ<確かにこのマイクアピール…グダグダなんですよ(笑)。
最初放送席で言うんですけど会場に伝わらず、2回目リングで言ったんですけど盛り上がらず…。
こういう部分に猪木との差がハッキリ表れていたんでしょうね。

アステカイザーさんのプロレスの観方、私は好きですよ。

もし気が進めば、ブログとかやってみたらいかがですかね?

>宮戸ゲノムさん

記事の冒頭にロビンソン<今回の画像は追悼の意味もあります。

危機カウンター!なるほど!!<本当に異文化が入ってきたときに一際残虐性を増すんですよね。本能的なものでしょうね。

猪木は腕を取る技術がホントに凄い<青木真也に言わせれば、「(猪木のアームロックは)左しか取らない」らしいですが、サブミッション自体、今の若い選手と比べてバリエーションは少ないみたいですね。
それでも一個一個が強烈で、やはりスパーリングによって身につけた実戦テクニックばかりとか。

結局はいつもの狂った虎になっちゃったという。展開としてはおもしろいですよね?<何かのスイッチがあるんでしょうね、きっと。
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