血で血を洗う信頼感・੪~狂気とストロングスタイル~(1975)

からのつづきです。

大阪での“腕折り”完全決着から、

アントニオ猪木タイガー・ジェット・シンのシングルは、

しばらく封印されました。
アームブリーカー!!

なぜなら新日はシンに対して追放処分を出したからです。

それでもシンをれっきとした、

タイトルコンテンダーと認めるNWF本部は、

シンの再来日とNWF再挑戦を推しました。

その背景には、

NWF本体がシンとザ・シークの抗争を目玉に、

興行が盛り上がっていた事があります。

そこでNWF側はシンを追放した猪木に対して、

逆に猛抗議、腕を折った事にも罰金を命じます。

それを拒否したところ一方的に、

タイトル剥奪と王座決定戦を決められてしまいました。

そして猪木の相手に指名されたのが、

何とシンだったのです。

1975年3.13 広島県立体育館での、

NWF世界ヘビー級王座決定戦
完全フォールで、

ベルトを奪ったのはシンでした。
シンがNWF奪取

猪木は完璧な3カウントを奪われてしまったのです。
痛いタイトル流出

すぐさま猪木はリターンマッチに打って出ます。

1975年3.20 蔵前国技館は、
凶器を奪って反撃

両者リングアウトでシン防衛。
シンが防衛

試合中、凶器を奪って使用したり、

試合後はベルトで殴りかかったり、
怒りが収まらない猪木

猪木の方がヒールに見える場面が多々ありました。

何としても奪還したい猪木は、

シンのホームであるカナダまで追いかけます。

1975年5.19 カナダ・ケベック州モントリオール ポールサウベ・アリーナ(参照:運命共同体)での一戦は、

三本勝負を2-1で勝利しますが、
猪木vsシン@モントリオール1

三本目が反則裁定の為、

王座の移動は無し。
猪木vsシン@モントリオール2

背水の陣で臨んだ1975年6.26 蔵前国技館での、

三度目のリターンマッチ。

腕折りからちょうど一年後で、

猪木vsアリのちょうど一年前に行なわれたこの試合を、

猪木vsシンのベストバウトに挙げるファンもおられます。

NWF世界ヘビー級選手権試合
NWF世界ヘビー級選手権試合

タイガー・ジェット・シンvsアントニオ猪木
です。
タイガー・ジェット・シンvsアントニオ猪木

ベルトを巻いていながらも、

変わらず観客に食ってかかるシンに、
ベルトを巻いても客に食ってかかるシン

猪木はいつもにも増して冷静沈着です。
冷静な猪木

試合直前にシンは、

自ら代名詞であるサーベルをレフェリーに預けました。
代名詞のサーベルを返上

にわか信じられませんが今夜は王者として、

クリーンファイトを心掛けるという意思表明の様です。

試合が始まってもシンは、

ロープブレイクに素直に応じます。
クリーンブレイク

猪木は得意のネックロックでグイグイ締め上げると、
猪木得意のネックロック

シンはヘッドシザース。
シンはヘッドシザース

時折レフェリーのブラインドをついては、

髪を掴みにいったりもします。

そして早くもコブラクロー。
執拗なコブラクローから場外へ、

たまらず場外へエスケープした猪木を、

追っていったシンは観客の傘を奪い、

その先端で猪木の喉元へ一撃!!
傘で猪木の喉を一撃

強烈なダメージを負いながら先にリングインした猪木は、

エプロンに立ったシンへ打点の高いドロップキック。
先に上がった猪木はドロップキック

さらにリングインしたシンを、

一気に丸め込んで電光石火のカウント3。
完璧なジャパニーズ・レッグロール・クラッチで一本目先取

しかし、この画像のジャパニーズ・レッグロール・クラッチ、

足をフックしてのブリッジはもちろんですが、

両手で足首もロックするという念の入り様ですね。

三本勝負の一本目を先取して、

意気が上がる猪木。
勢いづく猪木

そのまま二本目に入りますが、

開始早々のコブラクローに、

猪木は何と喉元からの流血!!
二本目開始早々コブラクローで猪木喉元から流血!!

慣れない箇所からの出血に、

さすがの猪木も一気にペースダウンです。
一気にペースダウン

シンは容赦なく、

スタンガンで猪木の喉をトップロープに叩きつけます。
さらにシンはトップロープへスタンガン

そのまま一気にアルゼンチン・バックブリーカー。

左手で喉を掴むという反則ギリギリの仕掛け方に、

猪木はたまらずギブアップ。
喉を掴みながらのアルゼンチン・バックブリーカーで1-1のイーブンに

一瞬にして1-1のイーブンになってしまいました。

インタバル中、猪木セコンドは総出で介抱にあたります。
セコンド総出で介抱にあたる

三本目、

シンはストンピングの集中放下から、
シンはストンピングから、

またしてもコブラクロー!!
ブレイク無視のコブラクロー

立ってもグイグイ、
立ってもコブラクロー、

寝てもグイグイ。
寝てもコブラクロー

たまらず猪木は一旦場外へエスケープしてから、

戻って来たところを、

待ち構えていたシンの一撃。
場外エスケープから戻る猪木の喉元に一撃

そして得意のブレーンバスター。
ブレーンバスター炸裂

いい角度で決まりましたが、

猪木はカウント2でキックアウト。
猪木キックアウト

もう一度、トップロープ越しに放ってきますが、
ロープ越しの2発目も、

猪木は必死に左肩を上げてクリア。
左肩を上げて返す

ラフで一気に来るか? と思われましたが、

ここでシンは不用意なヘッドロックにいきます。
不用意にシンはヘッドロkック、

これを逃さない猪木は、

ここでバックドロップ!!
そこを逃さず猪木のバックドロップ

ダメージの深い両者に、

ダウンカウントが入りますが、
両者にダウンカウントが入る

同時に起き上がったところで、

猪木のドロップキック2連発が、

シンのテンプルにヒット。
テンプルへドロップキック2連発

そしてもう一度バックを取って、
再びバックを取って、

高角度のバックドロップ!!
バックドロップ!!

完璧なカウント3を奪い、

猪木、約4ヶ月ぶりのNWF奪回!!
カウント3!! 猪木NWF奪回!!

大き過ぎるダメージゆえに、

両者共、自力で起き上がれません。
自力で起き上がれない両雄

何とか回復すると、

我に返ったシンは神妙に勝者を見やります。
“インドの狂虎”タイガー・ジェット・シン

そして猪木は堂々の勝ち名乗り。
“燃える闘魂”アントニオ猪木

三本勝負としては短時間でしょうが、

実に濃い試合内容でした。

何度かいつものダーティな攻撃も見られましたが、

当時としては異例のシンのクリーンファイトが印象深いです。

アントニオ猪木50Years (上巻) (B・B MOOK 664 スポーツシリーズ NO. 536)
 アントニオ猪木50Years(上巻) より

シン
「私にはアマチュア・レスリングのベースがある。そしてハードなトレーニングも積んできた。マットではなく砂の上、時には泥にまみれて鍛えてきた。イノキとの闘いのなかで、それを披露する機会が訪れたときにはテクニックで勝負した」


狂気と凶暴さだけで伸し上ってきたシンにも、

新日本流のストロングスタイルで勝負するという、

レスリングの幅広さが出てきた時期ですね。



実はこの試合、リングサイドには極真会館館長・大山倍達総裁の姿がありました。

総裁がプロレス会場に足を踏み入れたのは、

実に21年ぶりでした。

初めて猪木プロレスを生で観てゴッドハンドは何を思ったか?

翌日付の東スポに『特別観戦記』を寄稿しています。

大山
私がナマのプロレスの試合を見たのは昭和二十九年の力道山×木村政彦の試合以来二十一年ぶりである。
(略)プロレスは職業の戦いである。文字通り格闘技のプロフェッショナルだ。(略)猪木君とシンの、きょうの試合にはそのプロフェッショナルの神髄ともいえる迫力があった。
二十一年前の力道山×木村戦は、ふり返って見ればいまでもなにか、あと味の悪いものがカスのように私の胸の中に残っていたが、きょうの試合を見てすっかりそれが洗い流されてしまった。見てよかったと思う。
(略)猪木君はアメリカのプロレスや力道山のプロレスとは、また異なったプロレスを作り上げていることが、この夜の猪木君のファイトを見てわかった。それは凄まじい“真剣勝負”の味である。
猪木君の目を私は見ていた。鋭い目の光は相手のタイガー・ジット・シンを絶対に倒さずにはおかない、という真剣な光があった。シンの目も凄い。パンチの応酬も本物だ。2人ともよく鍛えていることがわかる。

(略)叩きつけられても叩きつけられても立ち上がって最後に一瞬のチャンスをとらえて、シンを倒した猪木君に、戦いに生きる男の“根性の凄み”を見た。21年間、見なかった間に、日本のプロレスはアントニオ猪木という男によって生まれ変わったようだ。(空手道・極真会館館長 大山倍達=署名)


のちにアリ戦、ウィリー戦(参照:物騒さ世界一決定戦~序章~)で大きく関わってくる、

大山総裁と猪木のファースト・コンタクトがこの日だった訳ですね。
猪木と大山総裁

猪木とシンのストーリー…まだまだへとつづきます。

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tag : アントニオ猪木 タイガー・ジェット・シン NWF 大山倍達

comment

Secret

倍達まで…

格好いい…

やっぱり、若い時のシンは格好いいですね~

猪木、シンのストーリーも壮大で、アメリカから極真まで巻き込んで話が進んで行くんですね。

倍達のプロフェッショナル、真剣勝負の味がってコメントが味がありますね。

アマチュアでガチンコの世界を展開している、倍達にとって、本当に鍛えられた強者同士が行うプロレスがどう写ったのか?

真剣勝負では無いが、その幻想をファンに見せ付けるプロフェッショナルの技術がそこに有った。

ってのが、真剣勝負の味ってコメントでは無いでしょうか?

共に梶原の漫画で幻想を広げてる時代ですか? 漫画はもっと後でしょうか?

なんにせよ、この時代のプロレスに有った人間同士の情念みたいなものを今のカラっと楽しいNJPWに少しエッセンスとして持ち込めば、幅が広がるのかなと思います。

No title

シンのこのアルゼンチンバックブリーカーfeat.コブラクロー大好きっす!これの他では観た事ありませんが・・・。

そしてこの頃のワープロの色がまだうす暗くて、オラの知ってるワープロの色じゃないんですよね。オラの知ってるワープロの色はもっと明るくて、猪木はハンセン、ホーガン、ブッチャー、国際、維新軍とやってるんですよ。

でもこの色の感じがなんか好きですね。猪木とシンの抗争はこの色なんだよなぁ~。なんかいい色だなぁ~。

No title

おそらくですが、シンが正統派レスリングの片鱗を見せたのはこの試合くらいのような気がするのですが、このイメージが強かったせいかどこで見ても
「実は正統派レスリングもこなす実力者」
という肩書きは着いてきますね。

そういう意味ではこの試合をやったかやらないかで、後に語られるシンのレスラー像は大きく変わった気がします。

それと思い出したのは、昔はよくあった海外のベルト管理団体との軋轢。
今となっては『プロレス的』という言葉でまとめられ
「もういいよ、そういうの」
って感じですが、この当時のファンは真剣になって怒ってました。
藤波のNWA王座奪取→フレアーのベルト持ち帰り→本国で再戦というのも、後になって思えばいろんなテリトリーを回ってる時代には
「ケビン、幻の王座奪取!」
とかいう聞き慣れた事件でしたね。
私なんかは、ドーム増刊を見て小さなその記事にカッカして、授業中に先生に
「気分悪いのか?」
と言われて、
「フレアーがベルト持って帰ったんです」
と言ったら
「ふ~~ん」
と言われて、そこから終わるまで先生を睨みつけてました(笑)

ロビンソンが…

このNWF奪回戦は、確か「ザ・メッセージ」というLPに収録されてまして、自分はカセットテープを購入したんですが、何度も何度も「やりましたねえ!!」という桜井康雄さんの解説を聞いたもんです。

自分もこの試合が猪木VSシンのすべての魅力が詰まったベストバウトだと思います。


ビル・ロビンソンが亡くなったようですね。図らずも、レガさんの猪木戦の特集がレクイエムになってしまいましたね。

>アステカイザーさん

若い時のシンは格好いいですね~<贔屓目抜きにして、ハンサムだと思いますね。目もきれいだし。

アメリカから極真まで巻き込んで話が進んで行くんですね<この極真とのやり取りには裏話があって、参照記事を読んで頂けたら幸いです。

プロフェッショナル、真剣勝負の味<断言する形にはしたくなかったんでしょうね。総裁的にはこれがギリギリの表現だったのかも知れません。

真剣勝負では無いが、その幻想をファンに見せ付けるプロフェッショナルの技術がそこに有った…ってのが、真剣勝負の味ってコメントでは無いでしょうか?<そう考えると、いろいろ想像出来て深い言葉ですよね。

この時代のプロレスに有った人間同士の情念みたいなものを今のカラっと楽しいNJPWに少しエッセンスとして持ち込めば、幅が広がるのかな<どんなに形は変わっても新日本プロレスという名である以上は猪木の遺伝子は否定出来ません。
この飾り気のない白い筆文字が原点ですからね。

>BKっち

このアルゼンチンバックブリーカーfeat.コブラクロー大好きっす!<狂乱ファイトの印象強いですけど、立って良し寝て良しでもあり、パワー殺法もお手のものなんですよね。

この頃のワープロの色がまだうす暗くて、オラの知ってるワープロの色じゃないんですよね<この飾りっ気ない感じが、確かに猪木vsシンのイメージですよね。
ゴールデンの間はずっと筆文字でしたが、黄色とか赤とかで時代による印象が違ってきますね。

でもこの色の感じがなんか好きですね。猪木とシンの抗争はこの色なんだよなぁ~<モノクロの世界…高田が引退時に言っていましたが、「新日は黒、全日は赤」っていう。
特にこの2人の試合はドス黒い印象が強いです。

>ナリさん

このイメージが強かったせいかどこで見ても「実は正統派レスリングもこなす実力者」<同じ時代のブッチャーとはひと味もふた味も違うヒールでした。

昔はよくあった海外のベルト管理団体との軋轢<そこにはプロレスならでは物語性と、現実の台所事情という虚実の入り混じった世界があったんでしょうね。

ドーム増刊を見て小さなその記事にカッカして、授業中に先生に…「フレアーがベルト持って帰ったんです」と言ったら「ふ~~ん」と言われて、そこから終わるまで先生を睨みつけてました<一途な少年だったんですね。
かくいう私も似た様な少年時代を送っておりました。

>スパさん

確か「ザ・メッセージ」というLPに収録されてまして、自分はカセットテープを購入したんですが、何度も何度も「やりましたねえ!!」という桜井康雄さんの解説を聞いたもんです<持っていますねぇ…さすがです。

自分もこの試合が猪木VSシンのすべての魅力が詰まったベストバウトだと思います<技もさることながら、この執拗さがシンというレスラーの魅力だったかも知れないですよね。
それにしても喉を切るという…凄い試合ですよね。

ビル・ロビンソンが亡くなったようですね。図らずも、レガさんの猪木戦の特集がレクイエムになってしまいましたね<そんな状態だったとは思いもしませんでした。
昨秋、必死にあの記事を書いておいてよかったかなぁ…なんて思っています。

折を見て、追悼記事を書かせて頂きます。

まずはご冥福をお祈りします。

レガさんの一連の猪木・ジェットシンのお話に何度かPCからコメントしてるんですが、なぜか重複投稿と出てしまいます・・・えーん参加したいぃ(T_T)

というわけで今日はガラケーから拝見しています(^^)

続編、ますます楽しみにしています(^∇^)

No title

ロビンソンショックで猪木VSシンの大事なこと書くの忘れました。。。

このNWF奪回戦で、猪木に敗れたシンは勝者を称え、猪木の手を上げるシーンがあるんですよね。
シンが全日本に移ってから、雑誌の過去の名シーン振り返るコーナーで初めて見たんですが、ホントに感動したなー。いいやつ、タイガー!!って違うタイガーだけど(笑)。

この手を上げるシーン、当時のテレビでは、何故か動画では撮っていなかったのか、写真が差し込まれる形で紹介されていました。動画が残っていればなあと思いますが、それだけ衝撃的な名シーンだったから写真でも放送されたんでしょうね。

>流星仮面二世さん

何度かPCからコメントしてるんですが、なぜか重複投稿と出てしまいます<調べてみると…夢の内容の部分がまずかったようです(汗)。

どうやら戻せましたので、今後とも宜しくお願い致します。

>スパさん

猪木に敗れたシンは勝者を称え、猪木の手を上げるシーンがあるんですよね<ああ私も写真では見ました。猪木も両手挙げて答えてるんですよね。
あの敗者が勝者の手を挙げる行為…私大好きなんですよね。のちにU系でよく見られるようになりましたが。
「かっこつけんな!」というアレではないと思うんですよね。

この手を上げるシーン、当時のテレビでは、何故か動画では撮っていなかったのか、写真が差し込まれる形で紹介されていました<そうなんですか? 当時のワープロって都市伝説みたいな話がたくさんありますね。
一部地域で前田vsアンドレがオンエアされてたとか…そういうのもいずれたどってみたいですけど…時間がいくらあっても足りないでしょうね(笑)。
紫レガとは?

紫レガ 

Author:紫レガ 
45歳のプロレス話


長州、これは俺のブログだ。

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