アントンとミッコ~一億円ジャンボ挙式編~

“若獅子”アントニオ猪木“若手人気女優”倍賞美津子さんは婚約発表(参照:アントンとミッコ~噂の二人編~)から7ヵ月後、

史上空前の“一億円挙式”を挙げました。

まさに猪木にとっては幸せ絶頂の日、

1971年11.2 新宿・京王プラザホテルです。
一億円挙式1

例の如く“脅威のデータベース”道立図書館から資料を拝借。

今回はプロレス誌ではなく芸能誌、

当時の『週刊明星』からです。

まずは挙式目前の新婦の特写、

タイトルはズバリ言って『ジャンボな新妻の喜び!』。
一億円挙式2

当時の流行語だったのか、

随所に、この“ジャンボ”というフレーズが出て来るんですよね。

ちなみにこの翌年、全日へ入門した鶴田友美も、

リングネーム改名以前から『ジャンボ鶴田友美』って称されていますね。

で、上の写真ですが、

まさにジャンボなアントンのシャツとの2ショット!

そして下の一枚ではミニスカで八百屋へお買い物。
一億円挙式3

バスケットに大量のネギとキャベツ、

肩には新聞に包んだ大根を背負って、

美津子さん
「大根って高いのね。どっか安いとこ知らない?」

まぁいかにも撮影用のショットなんですけど、

何とも新婚の幸せ感が感じられる一枚です。

さらにこの2ショット!!
一億円挙式4

“仲むつまじさもまたジャンボ級”…またか。

良いですねぇ…猪木のシャツの柄なんか実に良い。



そして当日を迎えた訳ですが、

ここら辺りは芸能誌ならではの写真が並びます。

それはまさに“カラースコープ”!!
一億円挙式7

“5メートルの特大ケーキが300万円”!!

“花嫁のダイヤの指輪が1000万円”!!

“衣装代2300万円”!!

“料理と引き出物が6500万円”!!

〆て一億円…を超えています!!
一億円挙式5

当時の東京スポーツの記事が、

その豪華さをうかがわせます。

激録 馬場と猪木〈第8巻〉競り合う両雄、分裂の萌芽
 激録 馬場と猪木(第8巻) より

午後6時15分、新郎、新婦(猪木、倍賞)が媒酌人とともに登場。一段と高いステージに並び、オーケストラが奏でる『結婚讃歌』に拍手が唱和。ロイ・ジェームスのユーモラスな司会にのってコンコードボールホールで披露宴が始まった。
媒酌人大久保(謙)氏(三菱電機代表取締役会長)が改めて2人を紹介。日本プロレスコミッショナー椎名悦三郎氏(自民党副総裁、衆議院議員、元外相)が祝辞。
続いて“同業の仲間”と自己紹介しながら松竹・城戸四郎社長が「仕事に精魂を傾け、それを社会のスティックに…」と励ましの言葉。
秋田大介参議院議長は「お二人はいい相手を引きあてた。立派な子供を…」と祝福。
その猪木、倍賞両家の兄弟が高さ5メートルのウエデイング・ケーキを会場中央に押し出し、万雷の拍手の中でケーキカット。笹川良一氏の発声で乾杯。新婦のお色直しとなった。
約20分後、新婦(美津子さん)は王朝風の小袖に色替え。絵巻から抜け出したような、あでやかさで登場。新婦の姉、千恵子さんが「ミッコ、たくさん子供を生んでいいお母さんになって…」と祝福。『かあさん』の歌を3番まで歌い、美津子さんが、何度も感涙にむせび、この夜のハイライトになった。
来賓祝辞のトリは井上東京スポーツ新聞社代表取締役社長。「お二人のご多幸を祈ります」という言葉があって、約一億円の費用といわれたジャンボ結婚式はお開きとなった。
多数の来賓の中には中村錦之助(萬屋錦之助)淡路恵子夫妻、田宮二郎フランキー堺長門勇林家木久蔵立川談志一龍斎貞鳳由利徹コロンビア・トップ香山美子笹るみ子ら芸能人、荒船清十郎二子山勝治尾崎将司らの著名人が、にぎやかに顔を見せていた。


もうこんなにwikipediaのお世話になったのも初めてだし、

今後これ程お世話になる事はないでしょう、という顔触れですね。

もちろんそこにジャイアント馬場さん坂口征二ら日プロのレスラーや、

平井義一日本プロレス協会会長、芳の里社長、吉村道明氏らの日プロ幹部も加わります。
一億円挙式6

豪華絢爛、文字通りのジャンボ結婚式は、

大盛況のうちに幕を閉じるのですが、

この直後、猪木夫妻はドン底まで突き落とされてしまいます。

燃えよ闘魂
 燃えよ闘魂 より

猪木
これが“一億円結婚式”という派手なものになってしまったのは、一つは会社の方針でもあったのだ。
プロレスはちょっと人気下降気味であった。
そんなときにわたしと倍賞美津子が婚約したのだから会社、つまり、日本プロレスとしてはプロレスムード盛り上げの格好の宣伝材料だと思ったのだろう。
「よし! できるだけ派手にやれ、費用は会社が負担する。これでプロレスのムードを盛り上げよう」ということになり、またホテル側も「これはホテルとしても大宣伝になるので、精一杯、協力するから、できるだけ派手にやりましょう」ということで、わたしもついついそれにのってしまった。
よし! それなら世界一の結婚式をやろう…幼い頃からよく祖父に聞かされ
「やる以上は何でも世界一」の精神を発揮して、張り込んでしまった。
衣装も料理も最高級、そして引き出ものも、蝶の額と柿右衛門の皿で一組十万円はかかったろう。
本当に一億円かかってしまったのだ。
ところが、結婚式をあげてから、わたしは日本プロレスの内部改革の問題で、日本プロレスの首脳部とおかしくなってしまった。
そして、式後一ヵ月で日本プロレスを飛び出す破目になり、とうとう会社で持つという約束の結婚式の費用は払ってもらえず、大変な借金を背負いこんでしまい、わたしと倍賞の貯金をはたき、それだけでは足りずその後何ヵ月かで清算したが、
「あんたは本当におっちょこちょいね。あれを払ってもらってから、喧嘩をすればよかったのに」とよく妻にいわれる。


タチの悪い大掛かりなドッキリを仕掛けられたかの様な結末です。

それでも二人で返済してしまった訳ですね。

新婚早々叩きつけられた大試練も、

美津子夫人の闘魂によってはね退けたのです。

猪木
しかし、あのときは
「よーし、いいじゃない。あんた一人ぐらいあたしがたべさせてあげるよ。男は思い切りがかんじんよ。あたし達の力でやりましょう」とハッパをかけたのは妻の方であり、喧嘩ばやい、カッと燃えるという点では“似た者夫婦”であるかもしれない。


この辺りは、当時の猪木を身近で見ていた櫻井康雄の証言もあります。

Gスピリッツ SPECIAL EDITION Vol.1 アントニオ猪木 (タツミムック)
 Gスピリッツ SPECIAL EDITION Vol.1 アントニオ猪木 より

櫻井氏「猪木は日プロに凄い金額を借りてたんだよね」

― 「1億円」と言われた倍賞美津子さんとの結婚式費用ですね。

櫻井氏「でも、猪木は返したから。あれは倍賞美津子が偉かったよね。いろいろ工面して。あの時、猪木も倍賞美津子がいたから崩れなかったんじゃないの。僕はそう思うな。彼女はかなりの賢夫人だったよ。後にいろいろ問題になったけども(苦笑)」


20代の新婚夫婦が、

当時のお金で一億円以上の借金を背負わされて、

それでも動じないという…。

逆境にこそ強い猪木のイメージは、

知らず知らずのうちに、

この倍賞美津子さんから教えられたものなのかも知れませんね。

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tag : アントニオ猪木 倍賞美津子 櫻井康雄

comment

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No title

ジャンボジェット・・・とかの影響ですかね?
それとも、そっちもその影響か?

いくら、新進気鋭の女優さんとはいえ『週刊明星』に猪木が載る不思議(笑)
まぁ、今その週刊明星も見なくなりましたが。

しかし、読んでいて思ったのは仮に奥さんがその状況で
「どうすんのよ、これ」
って言われちゃうと男は絶対に奮起できないな・・・と感じます。
そういう意味では倍賞さん、えらいですよ。
逆に何で離婚したのか聞きたいくらいです(汗)

>ナリさん

ジャンボジェット・・・とかの影響ですかね?<あ、そういう事かも知れないですね。
そういえば私が幼少の頃、伊藤ハムのコマーシャルで猪木がジャングルで「ジャンボー!!」と叫んでたのがありました。
私は祖父に「ジャンボ鶴田呼んでるの?」と聞いた記憶あります。

今その週刊明星も見なくなりました<廃刊ですかね?
思えば私らが学生時代に立ち読みしてた雑誌もずいぶん減りましたよね。

仮に奥さんがその状況で「どうすんのよ、これ」って言われちゃうと男は絶対に奮起できないな・・・と感じます<そこまで非常なアレはないでしょうけど、億の金を背負って「あんたひとりくらい…」っていう心意気が凄いですよね。

何で離婚したのか聞きたいくらい<猪木は最後まで愛していたみたいですね。
離婚の反動で遺書を書いてまで臨んだ巌流島は、今思えば壮絶な闘いだったんですね。

シャツ

素敵な柄ですね。
ココリコ田中が好んで着そう。
シャツで思い出しましたがコンバンワ事件の時のラッシャー木村さんの御召し物もよかったですよね?
ナウいですよ。
オカダにアレを着てほしいなぁ。髪型も同じにして。

今度、ファッション記事を書かれてはどうでしょう?
ケンファーな感じで。
手始めに90年代ヤングライオンのウェストポーチ編からいきましょうか!
あっ、くれぐれもU戦士ケミカルウォッシュジーンズ特集はやめて下さいね。

>宮戸ゲノムさん

素敵な柄ですね<この当時のシャツ…とくにレスラーが着こなしてた開襟シャツってかっこいいんですよね。柄もいい。マイティのショートタイツみたいで。

コンバンワ事件の時のラッシャー木村さんの御召し物もよかった…オカダにアレを着てほしいなぁ。髪型も同じにして<いや案外似合うんじゃないですか? いや髪型は要らんでしょうけど(汗)。

今度、ファッション記事を書かれてはどうでしょう?ケンファーな感じで<久々にヘアカタログ調の記事書きましょうか?
でもあれやると取りとめがなくなっちゃうんですよね(笑)。

一億円挙式余話

(古い記憶なので細かいところに間違いがあるかもしれません)
新郎新婦は前夜から会場であるホテルに泊っていました。
芸能誌記者の質問「部屋は同じですか?」に対して2人の答えは「いいえ」
しかし、質疑応答が進むうちに、新婦がうっかり「朝起きたらアントンは私を残して練習に行っちゃってて」と言ってしまい、同じ部屋に宿泊していたことがバレてしまいました。美津子さんのおおらかさを示すエピソードとして伝えられていますが!
アントニオ猪木は結婚式当日も、午前中は道場に練習に行っていた!
このことの方がプロレスファンには大切です。若きアントニオ猪木は、まぎれもなく強さを追求するプロレスラーだったのです。

>SisLANDさん

美津子さんのおおらかさを示すエピソード<当時の『プロレス』だったか『ゴング』を読んで、そのエピソード知りました。で、挙式前にステーキたいらげたんですよね?
この京王プラザホテル、のちの新日ガイジン常宿としても有名ですけど、私も高田引退試合で上京した時に嫁と泊まって、一人で感動していました。

アントニオ猪木は結婚式当日も、午前中は道場に練習に行っていた<今はオフをしっかりとるレスラーが多いみたいですよね。当時も練習熱心なレスラーは限られていた様ですが、猪木派の小鉄さんや北沢さんらは本当に練習していたみたいですね。
合理性や効果性以上にプロレスラーならば練習しまくってしかるべきですよね。
武藤がスランプに陥った時に、お寺で座禅やったりなんかしてると、小鉄さんが「そんな事やるより練習しするしかないんだ」とアドバイスして、武藤も逆に悟りを開いたとか。
紫レガとは?

紫レガ 

Author:紫レガ 
45歳のプロレス話


長州、これは俺のブログだ。

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