一番弟子が語るアントニオ猪木

最近、久し振りに読む「いい話だなぁ」と思ったのが、

KAMINOGE恒例の変態座談会にゲストで招かれた、

“問答無用の仕事師”藤原喜明の発言の数々です。

師・アントニオ猪木に対する絶対的主従関係はもちろんの事、

その猪木に対して真っ向から「NO」と言えるのも、

厚い信頼で結ばれた藤原組長ならではでしょう。
猪木、藤原組

同じ釜の飯を食った者、

特に弟子に対してあまり本音をさらけ出さない猪木が、

藤原にだけは本音で接していた様です。

KAMINOGE vol.22
 KAMINOGE vol.22 より

藤原
「プロレスって難しくってさ。いまだに『プロレスってなんだろう?』って思うもんな。むかーし、40代のときなんだけど、猪木さんが俺に言ったことあるんだよ。『藤原よぉ、プロレスって難しいよな』って。『アンタが難しいなら、俺はいったいどうすりゃいいんですか!?』って思ったけどさ(笑)。それぐらい難しいんだよ」


座談会の中でも突っ込まれていましたが、

一番プロレスを難しくしたのは猪木自身なんですがね(笑)。

41年間の現役生活、

胃ガンという大病とも闘いながら、

いまだにリングに上がり続ける藤原。

その原動力は“麻薬”とも言うべき、

お客さんの前で闘う…試合の緊張感にあるそうです。

藤原
「控え室なんてさ、みんな身体障害者ばっかりだよ。ヒザ悪くてテーピングしてるヤツばっかりだし、なかには『ゆうべ飲みすぎてよぉ』って不謹慎なヤツもいるけど。でな、痛がってても控え室のドアが開いて、お客さんのいるところに入ると、シャキッとするんだよ」

「さっきまであんなに脚が痛かったはずなのに、ちゃんと歩いてるよ、走ってるよって。頭から落とされたりして、『ヘタすりゃ死ぬぞ』と思うけど、気合い入ってるから死なない。練習だとボディスラム一発くらうだけで『うう…』ってなるけど、お客さんの前なら、あんなの何十発でも平気だもんな。それはアドレナリンのおかげなんだろうけど、その中毒になっちゃうんだよな。早い話が薬物中毒みたいなもんだけど、まあ、自分の体内で作るわけだから、犯罪にならないっていうだけでね」

「あの緊張感がたまんないよね。俺なんか試合前はいまだに興奮してさ、3分に1回ぐらいションベン行くんだよ。みんなそうなんだよ。『ゲエーッ』ってやってるヤツもいるしね、なんか小声でゴチョゴチョいいながら同じところ行ったり来たりしてるヤツとかいるしさ。あれはもう、精神病院か、病院のリハビリ室みたいなもんだよ」


40年以上も同じ仕事をして来て、

なおも極度の緊張感に苛まれる。

何度もリング上で起こった事件や事故を見てきた、

藤原クラスのベテランならではでしょう。

猪木との関係に話を戻すと、

二人をよく知る周りの人間の中には、

『猪木が藤原を都合良く利用している』という、

うがった見方をする者もいた様です。
藤原を帯同した猪木

パキスタン遠征(参照:アノキ・ペールワン~前編~~後編~)、ヨーロッパ遠征(参照:欧州“殺し”紀行~eins~~zwei~~drei~~vier~~finale~)と、

危険地帯に帯同するのはいつも藤原でしたから。

藤原
「これは
(某レフェリー)が言ってたんだけど、『猪木さんが“パーティーに行くときには藤波を連れて、危ないところに行くときは藤原を連れていく”って言ってて、俺、頭に来たよ!』ってね。でも、俺はそれ聞いて『それ、名誉じゃん』『けっこう俺はすげえな』って思ったもん」

「役割を決めるのは周りであって、自分が決めることじゃないんだよ。自分が満足してればそれが最高の主役なんだよ。だって自分の人生は自分が主役だから。
(略)なんでもできるのがプロ。たとえ俺に損な役割が回ってきたとしても、観客の何パーセントかに『うわー、アイツ、カッコいい』と思わせるかが自分の腕だと思ってるから」


藤原自身にとっては、

殿様である猪木に必要とされる事自体が名誉(参照:殿様と侍~ベルギーで塩辛を~)な事。

弾除けになる事だってファンの何パーセントかに、

『かっこいい』と思わせる事が重要。

文字通り“問答無用の仕事師”ぶりです。

そこは世間がイメージする猪木とは違う、

“本当の猪木”を知っているからでしょう。

藤原
「これは酔っぱらって言ったのかもしれないけど、『おまえ、俺の一番弟子だからな』ってポツリと言ってくれたんだよ。だから俺はそれだけで、いま死んでも『バンザーイ』って死んでいけるかなって」

「猪木さんは、ハッキリ言って凄く純粋でいい人だよ。でも、ファンに考えさせる懐は深いよ」

「俺も世界中でいろんな人に会ってきて。口のうまい人、カッコいい人、いっぱい会ったけど、やっぱりアントニオ猪木が一番だよ! あの人によって、俺の人生が決まったから」


“過激な仕掛人”新間寿もよく、

猪木の時折繰り出す“殺し文句”にやられてきた、みたいな事を言っていましたが、

「俺の一番弟子だからな」なんて言われたら感涙ものでしょうね。

これも藤原に言わせれば、“純粋”ゆえの本音。

前田日明が激昂した試合中のやり取り(参照:猪木なら何をやっても…いいんです。)も、

二人にとっては単なる確認作業だったのでしょう。
藤原が落ちた!!

むしろ藤原からすれば、

得体の知れないプロジェクトの数々に、

利用されるだけ利用されてる猪木が、

不憫に思えて仕方ない様子です。

藤原
「俺、一度直接言ったことがあるからね。『永久機関ってのはないんです。いまから何千年前、アルキメデスの時代からあり得ないことなんで、騙されちゃダメです』って。そうしたら猪木さんが俺に言うんだよ。『おい、おまえ盆栽好きだろ?』『ボク、27からやってます』『盆栽がおまえの趣味なように、宝探しとか発明っていうのは、俺の夢なんだよ』って。そう言われたら、何も言えねえよな。ちょっとフォローすると、そうやっていつまでも夢を追うのがアントニオ猪木なんだよ」


出た出た「呑気が一番!!」(笑)。

「夢を追うのがアントニオ猪木」…もうこれは仕方ないんですね。

アントン流に言えば、「これはもう恐らく治らないでしょう」
「折ったぞ!!」

しかし突然、若き日の藤原に、

猪木のために死ぬという…弾除けからの卒業がやってきます。

藤原
「俺はあの人のこと、もの凄く好きだね。俺は猪木さんの付き人をしてるとき、『この人のためなら死んでもいい』って思ってたし、俺は『いつ死んでもいいですよ』って言ってたんだよ。だけど29歳のとき、『猪木さん、あなたのために死ねなくなりました』って言ったら、アントニオ猪木がなんて言ったと思う? ニヤーって笑って、(小指を立てて)『女ができたか?』『…はい』って。凄いだろ、この阿吽の呼吸って」

「俺、すっごい真面目だからさ。それまでは、『この人のためならいつ死んでもいい』って思ってたんだよ。弾除けになろうって思ってたんだけど。29のときに女ができちゃって。『すいませーん』って(笑)。そうしたら猪木さん、『女ができたのかい』って。知ってんだよな。あの人も女でずいぶん苦労してるからな(何かを指折り数える)。いろいろあるからな。つまりそういうことなんだよな。人生経験なんだよ。『ああ、俺のあのときのあの状態だな』とかわかるんだよ」


まさに阿吽の呼吸…仰る通りです。

スーパースター猪木と人間味溢れる猪木の、

両面を知り尽くす藤原ならではのアントニオ猪木論は、

単純でいて奥深いです。

藤原
「アントニオ猪木は、強いばかりの男じゃない」


夢追い人・猪木、

またいつの日か藤原を帯同して夢を見せて欲しいなぁ。
セコンドは“影武者”藤原喜明

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tag : アントニオ猪木 藤原喜明

comment

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No title

おはようございます。

藤原組長をみたときは すでに今のスタイルで・・・(ってずっと変らず)
『 なんだろう?このおじさんは・・・?』 って 思ったよ。
 足首 を ぐいっ ってやって おしまい・・・。
へ? 痛いの?なんなの? わけわからん・・・?
初めてみた アキレス腱固めでした。
サブミッション なんて言葉も 覚えました。
プロレスでこんな地味な技で 勝つんだぁ~なんて。
目からビーム でしたね。

No title

猪木は純粋でいい人。

これは割とよく聞く話ですね。
ただ、良くも悪くも純粋だから悪い人間(利用しようとする人間)がいればそれにも染まってしまうというか?
・・・前田日明と似てますよね(笑)

昔、ジョージ高野が孤児という話を知ると
「いつか有名になって、母さんを一緒に探そう」
と言われて以来、猪木には何を言われても付いていこうと思ったそうです。


今回のブログを見ると、『男が男に惚れる世界』のカッコヨサをすごく感じます。

>ケロさん

こんばんわ。

藤原組長をみたときはすでに今のスタイルで・・・『なんだろう?このおじさんは・・・?』<30代後半からビジュアルはほぼ変わりませんね。凄い事です。

足首をぐいってやっておしまい…初めてみたアキレス腱固めでした<それまでは裏技の類でしたからね。ただ、私ら知らなかっただけで、昔の試合映像見ると結構出てくる技なんですよ。
猪木流に言えば「気付き」を与えてくれたレスラーかも知れません。

プロレスでこんな地味な技で勝つんだぁ~<第1次UWFがあったからプロレスファンはサンボとかを知る機会を得たし、プロレスの枠を広げた功労者の一人だと思います。

>ナリさん

猪木は純粋でいい人<直の弟子達は何やかんや言いながらも猪木が師である事が誇りの様です。

良くも悪くも純粋だから悪い人間(利用しようとする人間)がいればそれにも染まってしまうというか?<そこで騙されても人間不信にならずに、むしろ「俺を利用しろよ」と…。
前田が言ってた「猪木さんの素晴らしいところはくじけないところ」ってやつですね。

ジョージ高野が孤児という話を知ると「いつか有名になって、母さんを一緒に探そう」<自ら「猪木さんの兵隊」って言ってますもんね。
そういや今月のBUBKA立読みしたら豪ちゃんインタビューがジョージでした。
相変わらずのUFOっぷりでした。

今回のブログを見ると、『男が男に惚れる世界』のカッコヨサをすごく感じます<藤原が新日に帰還した時のセリフ「猪木さんに命預けます」って、本当の言葉だったんですね。

俺と藤原は感性で解り合える

こんばんは。

一番弟子は藤原とは非常に含蓄がありますね。過ごした時間の長さなら藤波なのに。後継者に考えていたのは前田なのに。
猪木がスピンクス戦前にリング上で藤原とスパーしていた絵を見た時は、当時U軍として参戦していたので違和感があったのですが2人の歴史を知る内に、一番信頼していたのは藤原ということなんでしょうね。

成る程ね~

猪木さんと藤原組長の関係は他の弟子レスラーとは違う空間でしょうな。

86年ぐらいかジャパンカップのタッグリーグ戦で猪木さんのパートナーは藤原組長でしたね。あれは会社は決めたのか、自分から言ったのか?。
決勝戦は猪木、藤原vs前田、木戸と言う新日1、U3と言う状況だったけど、
アシストして勝利を呼び込んだから、Uに居ても心は猪木さんだったのでしょうね。

そう思うと猪木ファイナルカウントダウンの試合後の涙はお互いの思いが表れたと言う訳か。
小川選手との闘いはSTO連発で負けたが脇固めやヒールホールドで苦しめたのが印象的で。

僕がプロレスを見始めた時の藤原組長はレスラーの一方でタレントで番組の企画で熊と闘ったり、春と秋のオールスター感謝祭の初期の名物企画、チャック・ウィルソンさんとの相撲対決とか。

今、BSで「すっぽん皇帝」と言うサプリのCMに藤原組長が出てますが、サプリの効果とAV監督をしてたと言うのが有ってか、どうも下の方を・・・。

>aliveさん

おはようございます。

一番弟子は藤原とは非常に含蓄がありますね<間違いなく全レスラーの中で最も長い時間スパーリングをしたであろう事もあって、技術的な部分でも絶対の信頼を持っていますしね。

猪木がスピンクス戦前にリング上で藤原とスパーしていた絵を見た時<ああ、ありましたね!! 藤原は若手時代にチャック・ウェップナーにパンチを見てもらい、「ケン・ノートンより良い」と言われたそうです。
あの時が猪木とゴッチさんの思えば最後の2ショットだったかも知れませんね。前田もいたから3ショットか。

>通り菅井さん

猪木さんと藤原組長の関係は他の弟子レスラーとは違う空間<間違いなく濃いです。

86年ぐらいかジャパンカップのタッグリーグ戦で猪木さんのパートナーは藤原組長でしたね<あの時はファン投票でした。表面上は。
確か藤波、前田組もランクインしていなかったっけかな?

決勝戦は猪木、藤原vs前田、木戸…アシストして勝利を呼び込んだ<その前に公式戦で裏切ってるんですよね。あの流れ…面白かったですよ。

猪木ファイナルカウントダウンの試合後の涙<猪木自身、あの試合の前が1.4でゴルドー相手にボロボロになって、「もうそろそろ潮時…」と言った後で藤原相手に大スイングしたんですよね。
あれは藤波にも長州にも出来ない役どころでした。

春と秋のオールスター感謝祭の初期の名物企画、チャック・ウィルソンさんとの相撲対決<KAMINOGEでもその話に触れていましたが、相撲の練習は一切していなかったそうです。道場で遊び程度にはやってたそうですが。

BSで「すっぽん皇帝」と言うサプリのCMに藤原組長が出てます<ああ、見た事あります(笑)。藤波長州もすっぽん系のCM出てますね。
紫レガとは?

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Author:紫レガ 
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