赤い月が語った橙色の太陽の話~後編~

前編からのつづき、

『KAMINOGE vol.21』(参照:ガンツさん、ありがとう。)において、

沈黙を破った田村潔司インタビューにおいて、

Uインターに別れを告げる直前の3試合の真相が語られています。
ジャンピングハイ!!桜庭は冷静にさばく

 元祖・三本勝負要求

 カッコつけてられない試合

 別れは突然に


2008年大晦日のメインエベント前の煽りVの中で、

物議をかもした桜庭和志の“真剣勝負発言”ですが、
田村vs桜庭煽りV⑨

それについて聞き手の堀江ガンツさんが真正面からぶつかっていきます。

そこで田村から出た言葉は意外でした。

KAMINOGE vol.21
 KAMINOGE vol.21 より

― で、その桜庭さんとの3連戦では「1試合目と2試合目はシュートだった」って、2008年大晦日の煽りVで桜庭さん自身も言ってましたけど、なんでシュートでやることになったんですか?

田村「いや…、『シュート』とか『真剣勝負』っていう言い方もおかしいんだよね。次元が低いというか。そんな表現した本人に聞いてみてよ。何を主張したいのかがわからない。そんなことは誌面で話す内容じゃないし、試合が決まって桜庭とのコンタクトは一切ないっていうだけだから。だから、あったとしても…あ、コンタクトあったな」

― あったんですか!


かつて公の場において、

高らかに“真剣勝負発言”した田村(参照:真剣勝負発言)ですが、

桜庭から発せられた同一発言はキッパリ「次元が低い」

さらに当時、明らかに孤立していた田村に対して、

対戦が決まった時点で桜庭の方からコンタクトがあった!?

田村「なんか試合が決まったとき、サクに『ジャイアントスイングやっていいですか?』って言われたんだ」

― そんな申し出が!(笑)

田村「『やれるんだったらいいよ』って言って、そんな感じよ。ちょっと表現が難しいけど、俺らは『普段やってることを自然にやればいいじゃん』的な感じだから。勝つんだったら勝つっていうか。だから2試合目のとき、スリーパーを極められてギブアップしそうになったことがあったんだけど、そこでギブアップしても、それは流れの結果だからしょうがないって思ったんじゃないかな。武道館でやった1試合目は、自分のスタイルが桜庭とうまく噛み合って、真剣勝負を超えた次元の満足する試合内容だったと思う。相手がサクだったから成立していた部分も多々あるし」


この部分、実は記憶が前後している可能性ありますね。

桜庭がジャイアントスイング仕掛けたのは3戦目のラストマッチでしたから。
桜庭まさかのジャイアントスイング

そういう観点で行くと、

桜庭が「プロレスです」という3戦目は互いに派手な技の攻防が目立ちます。
田村vs桜庭煽りV⑩

ただし田村の言い分は、

「真剣勝負」とか「シュート」とか次元の低い話じゃなく、

高い技術を持った同志で噛み合った攻防が出来れば、それがUWF。

その攻防の中で「ギブアップしても、それは流れの結果だからしょうがない」事だと。
完璧なスリーパー

それでもこの時期の田村、

桜庭と理想に近いUWFスタイルの攻防をしながらも、

すでに心ここにあらず的な部分が占めていました。

― あの3試合の時点で、田村さんはもうUインターを辞めるって決めてたんですよね?

田村「う~ん、…辞め…『そう』だった(笑)」

― 辞めるって決める寸前(笑)。

田村「まあ、気持ちはどっかほかには向いてたね。ほかっていうとリングスとパンクラスしかないけど。いずれにしても、ひと区切りはちょっとつけないとなとは思ってたけど」


そのひと区切りが田村にとっては勇断であっても、

後輩達にとっては“裏切り”以外の何物でもありませんでした。
別れ

田村は対抗戦開始以来初めての試合となる復帰戦の時、

帰ってきたはずのUインターのリングに、

大きな大きな違和感を感じていました。

田村「桜庭と試合をしながらも『もうインターでは、俺がやるべきUWFっていうスタイルはできないんだな。そうしたら出ていくしかないのかな』っていう気持ちのほうが強かったと思う」

― 桜庭さんと闘いながらも、「もうできない」と思ってしまったんですか?

田村「うん。いま、ふと思い出したけど、3月の武道館第1試合で田村vs桜庭っていうのをやったとき、会場がシーンとしてたのよ。もう空調の音が聞こえるくらいに。で、試合後、しりあいから『あの雰囲気っていうのは、なんか凄い異様でした』って言われて。俺としては、客席にUインターファンと新日本ファンが両方いる中でも、いいものが見せられたっていう思いがあったんだけど、試合がメインになるにつれて、会場の沸き方が全然違うわけ。それはもう、いい試合か悪い試合かとは違う次元で沸いていて、それを目の当たりにして、『あ、こういうので盛り上がるんだ』って思ったんだよね。それまで、ずっと自分がいた団体なのに、全然違う次元で盛り上がってるから、あのとき『俺って、ここにいる意味あんのかな?』って思ったんだと思う」


確かに当時の会場は当然の事ながら対抗戦ムード充満。

試合を見入るよりも新日の選手に野次を飛ばす事に、

重点を置いているかの様なファンがたくさんいました。

いわば同門対決は“前菜”の扱い。
回転体①

そんな中でも田村にとってのvs桜庭3連戦は、

Uインターという団体にピリオドを打つ意味でも、

大きなターニングポイントとなった事に違いはありません。

田村
「桜庭と3連戦で3連勝したことは、凄くいい経験になったし、ひと区切りするためのひと区切りになったし。アイツがどういう意味でシュートとか真剣勝負って表現したかは知らないけど、それだったら俺が負け越すかもしれないし、彼が勝ち越す可能性だってあったわけだから。結果は俺が3連勝、彼が3連敗。大晦日を入れると彼が4連敗したってことだよ」


シュートであろうとワークであろうと、

MMAであろうとプロレスであろうと、

一本取られる可能性のある“闘い”において、

4連勝したのは自分で、

4連敗したのがお前だよ、と。

何を言ってみたところで残っている試合結果は、

全てそういう事だよ、と。

この田村の考え…全面的に支持します。
田村判定勝ち

インタビューでは誰もが抱いている疑問、

「果たして今の時点で田村は現役なのか?」という部分にも触れています。

― 田村さんは、あの桜庭戦以降は試合してませんけど、やっぱり自分の中で、桜庭戦をやってしまったら、もう次なる試合のテーマが見当たらないって感じなんですか?

田村「んー、でもその前に『場所』がない(笑)。(略)単純に自分がやりたいことなのか、ピンとくるかこないかなんだけど、そうじゃないときもあるし、ジムで大会開いても、むしろマイナスになってるときもあるし。それは自分で好きだからやってるわけだから。PRIDEからのオファーを蹴ってさ、ジムの仕事やってると、効率的には数百倍違いがあるけど、それはやりたいからやってるわけだからね。だからそれはね、なんかわかんない。AB型のヘンなこだわりなんだろうね。どうでもいいことにこだわったりしてるから」


どうでもいい事にこだわった結果、

気が付けば6年10ヶ月のブランクが経過してしまった訳です。

そのこだわりの先にあるのは、やはりUです。

田村
「プロレスか格闘技かとか、そういうこだわりはないんだけど。俺のUWF道を貫くためだったら、それが200人規模の会場でも、大きな会場でも、やりたいことだったら規模にはこだわらないけど」


それはそれで田村らしいっちゃ田村らしいんですけどね。

もうひたすらピンとくるのを待つしかないのかなぁ…。
最後に礼

じゃ一体、今の田村のモチベーションはどこにあるのか???

― そんな限られた時間の中で、最後にもう一度大勝負とかは考えてないですか?

田村「それはわからんし、引退試合だってやるかやらないかわからないけど。やりたいことがあるかどうかだね。とりあえず、今の目標は(以下略)


う~ん、これは書かないどきます(苦笑)。

またしばらく出てこないのかなぁ…。

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tag : 田村潔司 桜庭和志

comment

Secret

No title

何を言ってみたところで残っている試合結果は全てそういう事だよ


私もこれは同意。
同意というか事実としか言い様がありません。

それと、『次元が低い』というも同意。
桜庭はこの発言は公にされないと思っての発言だったのかどうかは分かりませんが、他のU系選手からも大きく批判されましたね。

インターの試合は生観戦したことはありませんが、リングスの会場はほとんど
「シ~~~ン」
とした状態でした。
メイン近くなるとようやく常に声援が飛び、攻防で沸く状態になるというか。
田村は、リングスでの会場の雰囲気はどうたったのかなぁなんて。
おそらく、田村のいう桜庭との第一試合の静まり感は散漫さなのかもしれませんが。


田村の試合は6年以上も経過してるんですねぇ。
そりゃ、桜庭がHEROS移籍前ですもんね。
なんか、そう考えるととてつもなく昔に感じます。

No title

いつも熱く暖かいブログ、有り難うございます。自分もKAMINOGEを読むようになりました。他にもレガさんが紹介して下さった書籍も数冊読みあさり、プロレスについて語ること、考えることの楽しさを数年ぶりに味わっています。レガさんのお陰です。
どうも他人を批判することに走りがちな世の中で、レガさんの「自己主張は通しつつ、他人の意見も尊重する」プロレススタイルはとても真摯で良いです。
これからも楽しみにしております!

>ナリさん

私もこれは同意。同意というか事実<結局、リングで出た結果がすべてと言うか…仕掛ける仕掛けないの話にもなってくるのですが、仕掛けさせなかった事も実力という事が言えると思います。

桜庭はこの発言は公にされないと思っての発言だったのかどうか<カメラが回ってるのは重々わかった上での発言だったでしょう。
「面白くするため」という大義名分はありましたが、これらのネタ振りが田村を硬くしてしまった事には違いない様です。

田村は、リングスでの会場の雰囲気はどうたったのかなぁ<Uインターは明らかにリングスよりも汚い野次が多かったです。それが、より強くなってきたのは安生のヒクソン返り討ち以降でした。
新日との対抗戦に至ってはUの試合自体が前菜扱いされてたのですから、田村がリングスに移った直後に「新生Uの匂いがした」と言ったのもうなづけます。

田村の試合は6年以上も経過…そう考えるととてつもなく昔に感じます<生まれたての赤子が小学生になるだけの時間ですからね。
長いです。

>てつさん

お尻がムズ痒くなる様なお褒めの言葉の数々、ありがとうございます(笑)。

紹介して下さった書籍も数冊読みあさり、プロレスについて語ること、考えることの楽しさを数年ぶりに味わっています<プロレスって人それぞれ色んな関り方こそあれど、いずれも日常を豊かにしてくれるものだと信じています。

「自己主張は通しつつ、他人の意見も尊重する」プロレススタイル<いわゆる意見交換の場でありたいなと思っています。
自分の考えを読んでいただく訳ですから、様々な見解も教えて頂きたいです。

今後とも宜しくお願い致します。

No title

どうも。

どう頭を捻っても、この部分って意味不明なんですがねぇ。
だって「実力で2回負けて、勝てそうもないから
傷深くならないよう、事前に負け役貰いました」
と、そういう意訳にしかならないですよね?
桜庭側の気勢を上げる要素として、何も機能していない。
これが例えば1勝1敗からなら、立派に桜庭アゲになります。
「不当に負け越しにされてる。俺の方が強い」という意味ですから。
或いは2連勝からで「本当は一度も負けてない」とかね。
なので、全く編集とは違う流れ・文脈で出た会話が
「ヤオガチ論は皆好きだろ」的な安直な発想で
あのようにクローズアップされたんではないか、と思ってます。
それに対し桜庭が文句を言っていないだけ、という。
田村の「どういうことか本人に聞け」というのも
そういう気配を察してのものじゃないのかなぁ。
と、2人ともに好意的な解釈をしています。

田村がやたらオファーを選び扱いづらいようにみられてるのも
実際は「リング外・技術以外の話題先行は嫌」なだけかと。
それが小川vs吉田と同列になりたくなかったことや
対抗戦ムードが合わなかったことに、結果として出たんであって。
その究極の発露が「シュートだの、アホか!?」と。
実際に試合を見たんなら、見たいものは見れたはずだろ、と。
もう試合をしなくなってしまっているのも
「試合」より「田村」を皆が見たがるからかも知れませんねぇ。

>ネコさん

こんにちわ。

「実力で2回負けて、勝てそうもないから傷深くならないよう、事前に負け役貰いました」<なる程。そう言われると、そういう表現になっちゃってますね。
今回出た桜庭本でも解説されていますが、一本取る事に集中しすぎてファーストエスケープ奪った後にはスタミナ切れ…これって当時MMAなんてない時代ですから、普通に作戦ミスですよね。
それとも事前に「田村さん、エスケープ無しにしましょう」見たいな提案してたか…んな訳ないですよね。

例えば1勝1敗からなら、立派に桜庭アゲ…「不当に負け越しにされてる。俺の方が強い」…或いは2連勝からで「本当は一度も負けてない」とか<裏読みするといろいろなパターンが浮かんできますけど、勝敗についての両者の認識、Uインターの他選手の解釈が違ってるなら、これはもう表面どおり田村の4勝という事でしょうね。

田村がやたらオファーを選び扱いづらいようにみられてるのも実際は「リング外・技術以外の話題先行は嫌」なだけ…実際に試合を見たんなら、見たいものは見れたはずだろ、と<そういった意味では田村って職人気質なんでしょうね。
我々が勝手に背後にあるものを知りたがるだけかな?

「試合」より「田村」を皆が見たがるからかも<ただ、もう田村はそういう存在になっちゃっているのも仕方がない事ですね。
かつての前田、高田、船木ら同様、田村もUの中でそういう存在なんですよね。
田村から下の世代になると、完全に試合優先なんでしょうけどね。

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>○○○さん

とにかく“赤いパンツの頑固者”といえば、田村と馬場さんなのであります。

最後は…実はたいしたこと言ってないんですよ(笑)。
紫レガとは?

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