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幻の“真”格闘技世界一決定戦~第三章~

第二章からつづいて参りましょう。

95年のテレビ出演で、

マイク・タイソン戦への変わらぬ熱意を語った高田延彦ですが、

その後、周囲の環境は急展開してしまいました。

前年末、安生のヒクソン狩り失敗(参照:宮戸と佐山、シュートな関係)の影響から、

次第にUインターの観客動員は激減し、

高田自身揺れ動く心の中で、

突然の引退宣言(参照:7年半の引退ロード)、
突然の引退宣言

そして参院選出馬と落選。

さらに新日との対抗戦と歴史的敗戦(参照:歴史は10月に作られる~平成編~)。
「前田が泣いてるぞーーー!!…」

年明けの96年初頭にリベンジを成就しますが(参照:ちょっと待った!!~前編~~後編~)、

4ヶ月後、再びの敗戦(参照:大根にして名優)。
ダメ押しの三角締めで高田タップアウト

そんな激動の中で高田の、

“最強の格闘技”プロレスリングへの情熱は、

すっかり冷え切ってしまいました。

プロレスリングに対する愛情と引き換えに、

刻々と迫る自身の引退時期への焦りから、

プロレスファンの目を避けるかのように、

高田はひっそりと行動を起こしました。

それは、今は無き男性誌の巻頭記事。

突然の特集記事でした。

カバーガールは野口五郎夫人
 PENTHOUSE 1996年6月号 より
高田延彦、マイク・タイソンへの挑戦状。

高田
1パーセントしか勝ち目がないと言われても、やる。リングに上がってタイソンとやりますよ」

「何年か前の自分ならば、この取材の場で『俺は日本のプロレス界を代表してマイク・タイソンに挑戦する』と言っているかもしれない。プロレスの人気を底上げするために、とか、ファンの注目をどうのとか、選挙に出たときのようにいろんな能書きを垂れていたかもしれませんね。実際にそう思って闘った時期もあったから。でもいまは、真っ白ですよ。マイク・タイソンに挑戦することの意味は、現役の世界チャンピオンであると同時に、世界最強の男の肩書きがある人間に、プロレスラー高田延彦が挑むという点でしか価値がないものです。(略)何を、とか、何のためというのではなく、誰と、が自分の高みを得るには重要なんです」

「(略)タイソンとやることに対して、贅沢を言うつもりはない。ルールで五分五分に持っていくのは背後の力関係からすれば100パーセント無理な話ですから。(略)タイソンが蹴らないで欲しいと言えば蹴らないし、投げもダメと言われれば投げない。しかし、仮に、試合のルールが9.5対0.5の割合でタイソンに有利にころんだとしても、俺はリングに上がる。タイソンと契約を取り交わしたあとで、その5パーセントの可能性を探ります」


第一章で紹介した書籍や、

第二章で紹介したテレビ出演時とは打って変わり、

“プロレス最強の証明”からの方向転換。

あくまでも一プロレスラー高田延彦としての“挑戦”であると。
タイソンへの挑戦状

高田
「いまここで断言できるのは、倒すか倒されるかということです。9.9対0.1のルールでやれば、9.9対0.1の確立で負けるかもしれない。いや、負けるでしょう。倒されて、負ける覚悟はできている。しかし、タイソンだって一度はリングに倒れたことがある。わずか1パーセントのチャンスでも、必ず探っていけば勝機をつかみとる自信はあります」

「やりたいからやる。それしか答えは見つからないね」


「負ける覚悟」…これに関しては、

後年実現したヒクソン戦(参照:第一歩)の前に、

宮戸が語っていた高田の心境(参照:宮戸語録 vol.7~電撃復帰編~)の“グレイシー”の部分を“タイソン”に変換したような感じだと思います。

当時、対新日本の真っ只中で、

高田は確実に“闘い”に飢えていました。
挑タイソン

高田
この緊張感があと何年つづくかわからないから、タイソンとやりたいんです。理想の(レスリング)スタイルが現実になると思えるいまのうちにね」

「自分では、なんとなく、あと2年くらいが限界じゃないかなと思う。いまはプロレスが楽しい。楽しいからつづけている。それがそうでなくなるのは35歳だと感じている」


建て前として、

「プロレスが楽しい」と発言していますが、

前年のゴタゴタ以降、

最もポジティブな高田の姿がそこにはありました。

だからでしょう、

高田はプロレスラーとしてではありますが、

あまりプロレスファンの目に触れる事のない様、

男性誌での対戦表明を敢行したのではないでしょうか。

これはリップサービスの類ではなく、

記事中には『この記事は英訳の上、正式な試合の申し込み状を添え、ドン・キング氏のもとに送られます』の表記があります。
高田のコメント

高田
「タイソンだって、試合前に控室で涙を流していることがあるでしょう。早いうちに相手を仕留めないと、自分の脳味噌が打ち砕かれる。彼も、死ぬことが恐くて逃げ出したい心境なんだよ、きっと」


半ば玉砕にいくような心境。

そして刺し違える願望のような発言。

この当時の高田はとにかく大きな舞台での、

格闘家としての“死に場所”を探していたかのように見えます。
モノクローム高田

そして、次回最終章にて、

到底実現不可能と思えた“宿命の闘い”は、

思わぬ形で動き出しました。

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tag : 高田延彦マイク・タイソン格闘技世界一決定戦

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五十路のプロレス話


「昔はインターネットを旅してましたからね。毎晩ブログでね、今みたいにSNSがいっぱいある訳でもないし、終わったらみんなブログでね、一日の終わりにUPして。今こんなこと言ったらエラいことになりますけどね、よく寝不足になったね、部屋でPCを打ったりね。…いや、そういう歴史はちゃんと教えとかないとね」

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